次にすることしか考えられないくらいのジタバタした日々が少し落ち着き、機に向かえる機会が戻ってきました。織る前の“機上げ”と呼ばれる作業の一つに“綜絖(そうこう)通し”という工程があります。別名“もじり通し”とも呼ばれるこの工程は、綜絖の輪(針金をくるんと輪にしたところ)に、糸を一本一本としていきます。
この単純作業が始まると、妄想というか頭の中ではつらつらと色んなことが浮かんできます。
若いころの失敗を思い出し一人で恥じ入っててみたり、近所の猫が目に入ると、猫の世界について深く考えてみたり、お昼ご飯に何を作るか考えてみたりと、頭の中は結構忙しいのですが、手と目はひたすら糸と綜絖を見つめています。
一見辛気臭いこの作業ですが、ふかーく自分の世界に浸れるので綜絖通しの時間は結構気に入っています。
無事、綜絖にも筬にも糸が通ったので、本日からいよいよ織り始めます。