薪ストーブで暖まった部屋で、犬たちとムスメと母(泊まりに来てくれています)の寝息を聞きながら、パソコンに向かっていると、織りの夜なべ仕事を始めないといけないのに、隣にある工房になかなか向かえないでいます。
先日、90歳を超える丹波布の大先輩に初めてお会いする機会がありました。10年ほど前まで、製作をされていたとのこと。10年ぶりに機に座り、10年ぶりに糸を紡ぐ姿を見せていただきました。
そろそろと機に座った後は、杼をさがし糸の出口を確認し「織る」動作をされます。糸紡ぎも同様で、じんき(綿)を左手に持つと右手は糸車に。どちらもゆっくりですが、流れるような動きで、頭で考えてするのではなく体がすべて記憶していて、一連の動作がとても滑らかでした。長年紡ぎ、染め、織ってきたご本人には“当然”のことなんだな、歩くときに右足と左足が交互に出るように、考えなくとも体が知っているということなんだなと、感じました。
そして、その事実を目の当たりにし、深く深く感動しました。
“長年続けることはこういんことなんですよ”と教えられたように思いました。
ご自身が織る布のように、すっきりとしたきりりとした美しい方でした。
貴重な出会いに感謝と感動を覚えた一日でした。