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切り抜き詳細

発行日時
2012-11-24 17:30
見出し
晩秋
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3365 晩秋への外部リンク
記事詳細
 晩秋となった。 野山を鮮やかに彩った紅葉は色あせてしまった。 我が家の近くにある川沿いの桜並木も、 すっかり葉を落とした。 春の光を受け、 らんまんと咲き誇った光景はとうに昔日のもの。 裸になった桜の木が冷たい風に震えている。 春の盛りの姿と重ね合わせるとき、 生あるものの滅びを思う。 ▼ 「見渡せば花ももみじもなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ」。 哲学者の池田晶子氏はこの歌を引き、 「晩秋の夕暮れに感じる寂しさとは、 端的に、 死の予感でしょう」 と書いている (『暮らしの哲学』)。 生あるものは、 死から逃れられない。 死とは、 生の滅び。 晩秋の夕暮れに、 生に忍び寄る滅びの影を見る。 ▼ 「千の風になって」 で有名な作詞作曲家の新井満氏は、 般若心経の 「色即是空」 を、 「万物は変化した結果、 滅びる」 という思想を表わしたものと読む。 変化を遂げ、 最後には滅びるのが万物の宿命だ。 ▼ただ万物は滅びるだけではない。 滅びる一方で生まれもする。 それを説いたのが 「空即是色」 とする。 葉を落とした木も、 季節が巡れば、 また青々とした葉をつける。 四季の運行にある自然は、 滅びと再生を繰り返す。 ▼ただ人はどうか。 その人自身は滅んでも再生することはない。 「急がなくちゃ、 残り時間はもう少ない」 (池田晶子氏)。 そんな焦りがかすめる晩秋である。(Y)