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発行日時
2017-7-6 9:26
見出し
10.「もの」を大切にした昔
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 雨傘の出番が多くなってくると、思い出す人があります。「こうもり傘修繕ありませんか」と自転車の荷台に大きな道具箱を積んだおじさんです。昭和の30年代の頃でしょうか。おじさんが来てくださって、骨の折れや布のほつれなどをちゃんと直してくださるのはとても嬉しいことでした。傘だけでなくお鍋の取っ手とか小さな修理は器用にこなしておられました。当時、家にあるのはこうもり傘といわれる黒い大きな傘が主だったように思います。時とともに、おしゃれな傘や安い傘、お金を出せば何でも手に入るようになってきて修繕して使うということもなくなり、おじさんも見かけなくなりました。  昔はものが少なかったといえばそれまでですが、傘だけでなく、ものを大切に大事に使っておりました。ものは使っているというより、使わせていただいているという感覚、仲間や友人であったような気がします。子供の頃、「ただいま」と言うなりランドセルを放り出したりしたら「ランドセルは何も言わへんけど、あんたがこんなに放り出されたらどないやろ。ものは何にも言わへんけど大事にしたら喜んどるよ」と言われたものです。雑に扱われた鍋やお釜が化けて出てくるという昔話も何回も聞かされました。  最近でも、イチロー選手が小学生に「どうしたら野球が上手になれるのですか」と聞かれ「バットやグローブなどの道具を大切に扱うこと」と言われたということです。尊敬している大工さんも「職人は道具をいつもきっちりと手入れしとかんと、ええ仕事できへん」と仰っていたのを思い出しました。  ものが溢れたこの時代に、使い捨てが当たり前のこの時代に、お節介なおばさんが何言うとるねんと言われそうですが、ものを大事に扱うようになると「ありがとう」と言いたくなるし愛着も出てきて自分の気持ちも落ち着くような気がします。小さなものたち、少ないものたちを慈しんで愛おしんで使わせてもらう。小さなことですが何か大切な気がしています。 * * * 〈最近体験した“ほっこり話”〉  最近、買い物の途中で突然ショルダーバッグの紐が切れました。もう10年以上もどこへ行くのもお供してくれたバックです。幸いテナントに手作り工房のお店があり、お願いしてみました。「大丈夫ですよ。直りますよ。長年使われているので糸が切れたようです」と快く預かってくださいました。買い物を済ませて伺うと、ちゃんと直っておりました。「ほかの紐も弱っていると思いましたので縫い直しておきましたよ」。その心遣いがとても有り難くほっこりとしました。今も形は違えこうもり傘修繕のおじさんが生きていると思ったことでした。 (野口歩 17.6.18掲載)