台風１８号水害で被害を受けた福知山市の浸水地域で、復旧作業が本格化している。１９日は朝から多くのボランティアや、兵庫県篠山、丹波、朝来、養父、豊岡市など府県を超えた近隣市町の職員らが支援にあたっている。

　台風１８号の洪水被害を受けた福知山市内では、被災した住民たちが家屋からの泥かきや水浸しになった家財道具の運び出しなどに追われている。落ち込む心を懸命に奮い立たせながら作業が続く。自発的にボランティアに駆けつけた人たちの姿もある。市や府の本格的な災害調査が進められ、１８日には政府調査団が視察に訪れるなど、復旧へ向けて動き始めている。

　福知山市戸田周辺でも、住民や他の地域の友人、親せきたちが駆けつけ、家から泥を出したり、食べ物の差し入れをしたりと、以前の生活環境に戻すため、懸命に作業が行われている。

　ぼくたちも何か力になりたい−。家や車が多数浸水し、後片付けに追われる福知山市石原地区に１７日、近くの府立工業高校（田中邦明校長）の生徒たちが訪れ、被災者宅のがれき撤去などの片付けを手伝った。授業が終わったあと、運動部の１、２年生約５０人と志願した３年生１０人の計６０人ほどが参加。流木のほか泥水につかった畳、家具などをごみの収集場所まで運んだ。

　台風１８号の爪跡が大きい大江地域に連なる福知山市下天津地区が、今回も濁流にのまれた。地区は堤防などの水防対策が未着手の由良川に沿う形であり、住民からは、ため息交じりの声が漏れた。

　「またか…」。前川さん（６０）は、全て水につかってしまった畑を見て、言葉を失った。東日本大震災で被災し、漁師の仕事を奪われて、岩手県から福知山に移り住んで２年半。「災害が、また俺から大切なものを奪っていった」

　内閣府特命担当大臣（防災）事務代理の谷垣禎一法務大臣を団長とする政府調査団が１８日早朝から、福知山市内を視察した。

　国土交通省の緊急災害対策派遣隊が１７日から福知山市に入り、台風１８号災害で甚大な被害を受けた地域の被害調査にあたっている。

　台風18号により被害を受けた福知山市内各地で、家屋からの泥かき出しなどの作業が...

　 　　　速報、詳報一覧 　...

　０４年１０月の台風２３号による大水害で被災した大江町は、今回の台風１８号水害でまた大きな被害を受けた。１６日早朝に水が押し寄せ、国道１７５号や府道などが寸断され、まちは一時孤立した。蓼原や河守など町内の低い地域では２階に達するほど浸水した家屋があった。

　９年前の台風２３号で、当時の町役場が浸水して災害本部機能が麻痺した福知山市役所大江支所は、１階部分が腰のあたりまで浸かった。府機関が間借りで１階に入って、支所機能は２階に移っており、１５日から市職員が２階に詰めて現地対応に備えた。

　福知山市大江町金屋の金屋浄水場の取水ポンプの操作盤が台風１８号による浸水で故障し、大江町左岸地域へ送る水量が少なくなっている。市は緊急修繕のために一部地域で断水し、近隣市町から応援も受けて給水車７台を走らせた。

　福知山市が１７日午前１０時現在で確認している市内の被害状況は、家屋浸水約３８０戸、土砂崩れ５件で、今後さらに増える見込み。大江地域は、１７日から状況の把握に努めている。

　台風１８号は１６日未明に近畿地方に最接近し、同日午前８時前、愛知県豊橋市付近に上陸、本州を縦断し、夕方には東北から太平洋に抜けた。

　大型の台風１８号の接近に伴い１５日から１６日にかけて降り続いた大雨で、由良川と各地の支流が氾濫し、福知山市の戸田、石原両地域や大江町を中心に多くの家が水につかるなど、甚大な被害が出た。道路の通行止めや列車の運転見合わせも相次ぎ、１７日朝も孤立している集落がある。浸水した地域では、水が引くのを待ち、片付け作業に追われている。

　台風１８号による大雨の影響で、福知山市内は１７日午前も国道１７５号など一部幹線道路が通行止めとなっている。

　台風１８号による大雨で福知山市の由良川筋は多くの地域が浸水被害を受けた。大江...

　福知山市と近隣地域では１５日から降り続く台風１８号による大雨の影響で、各地で...