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2013年12月8日08:35
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子どもの尻尾
朝ドラのあと、 何となく惰性で 「あさイチ」 を見てしまう。 この日は俳優、 國村隼 (くにむらしょう) さんがゲスト。 最近出演した映画についてとか、 これまでの役者人生について語っていた。 初めて彼を見たのは、 七年前の朝ドラ 「芋たこなんきん」 で、 主役の藤山直美の夫役。 ハンサムではないけれど、 味があり、 そこはかとない男の色気も感じた。
この日の話で一番面白かったのは、 「子どもの尻尾」 という言葉。 近作映画について 「五十歳を前にしたおじさん三人が、 あることがあって何十年ぶりに故郷で再会したときに一気に高校球児に戻ってしまう。 それは僕のイメージだと 『おたまじゃくし』 です。 オタマジャクシは足が生えて尻尾はなくなってカエルになるはずなのに、 どこかに尻尾を、 つまり 『子どもの尻尾』 をしまい忘れてる。 僕の中にも尻尾は確実にあって、 その尻尾がないと役者ってできないと思う」 と話した。
役者だけでなく、 大人になっても、 誰もがどこかに、 子ども時代にこだわっていた物や、 友だちとの関係などを尻尾として残しているのではないだろうか。 というのも、 その数日前、 東京のミニクラス会へ行ってきた。 高校時代の同窓生が十四人、 東京駅の近くの店に集まった。 しばらくぶりの人もあるけれど、 喋ると途端に昔なじみの笑顔がこぼれる。 客観的に見れば充分に老人だし、 まだ闘病中の友もいる。 でも、 みんなの 「子どもの尻尾」 が、 時を超えて高校生、 中学生、 小学生にまで戻してくれたのだ。 「子どもの尻尾」 を大事にして、 また元気で会いたい。
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2013年12月8日08:34
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箱わなにクマ掛かる
「箱わなにクマが掛かったよ」 との一報が入り、 篠山市小野奥谷集落へと向かった。 以前にもこのコラムで書いたが、 私のクマ遭遇歴は、 北海道と京都府で1回ずつ。 京都・芦生で出会ったツキノワグマは、 向かい合う山腹をのしのしと歩いていた。 その距離300メートル以上。 はっきり言って黒い点でしかなかった。 そんなクマに今回は檻越しに対面できると思うと、 興奮して思わず武者震いした。
「本州で最大最強の猛獣」 のイメージを抱いて対面したツキノワグマは拍子抜けするくらい小さかった。 全長約1・2メートル。 「これだと犬のラブラドールの方が大きいね」 などと、 箱わな設置者の猟友会メンバーと笑っていると、 不意にクマがドンッと檻に力強いタックルを食らわせた。 一堂 「おー」 と声を漏らし及び腰に。 檻越しだからこそ言える冗談だと反省した。
同じ頃、 丹波市氷上町鴨内でもクマによって神社の社が壊される出来事が発生。 社の中に営巣していたミツバチの蜜を狙ってのことらしい。 研究者によると、 クマは冬眠する12月下旬まで、 活発に活動しているとのこと。ご注意を。(太治庄三)
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2013年12月8日08:34
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互いの特産物で交流 城東小3年と小野市...
城東小学校 (塚本一男校長) の3年生19人が、 小野市の河合小学校と、 黒大豆と小麦という互いの特産物を通した交流プロジェクトに取り組んでいる。 4日には、 両校の児童がインターネットを利用したテレビ電話で“会談”。 特産の紹介を行いながら、 顔を合わせて親ぼくを深めた。 城東小では河合小で栽培された小麦を使って黒豆パンをつくる予定で、 児童たちは 「河合小学校の小麦でどんなパンができるのか、 とても楽しみ」 と満面の笑顔を浮かべていた。
環境学習の一環として、 黒大豆の栽培を行ってきた城東小の児童たち。 篠山産業高校生活科の生徒たちから豆腐やお菓子など、 黒大豆を使用した料理を教わる中、 担任の垣内頼彰教諭が住む、 小野市で小麦が栽培されていることに着目し、 黒豆パンを作ることを企画した。
同市では2003年から、 小麦の新品種 「ふくほのか」 の振興が始まっており、 うどんやお菓子などの商品展開も行われている。 河合小4年生 (51人) も栽培について学んでおり、 両校の特産を通して交流することになった。
しかし、 実際に児童たちが両校を行き来することは難しいため、 ネットを使ったテレビ会議システムを採用。 カメラの前に立った両校の児童たちは、 スクリーンに映し出される児童たちを前に、 互いの特産の歴史や現状、 おいしさなどを伝えた。 ともにクイズも出し合い、 遠く離れていても両校の教室には笑顔の輪が広がっていた。
今後、 互いの特産を交換し合い、 城東小では3学期に黒豆パンをつくる予定。
黒豆栽培に協力し、 テレビ会議にもアドバイザーとして参加した羽田登喜雄さん (八上上) は、 「ともにすばらしい発表で、 特産や命を大切にする児童たちの思いが伝わった」 とにっこり。 岸本広大君は、 「緊張したけれど、 黒豆のことが伝えられてよかった。 河合小の小麦でできるパンが楽しみ」 と話していた。
垣内教諭は、 「特産の交流はもちろん、 離れた場所にいる人に考えや学んだことを伝えるための表現の工夫も学んでくれたのでは」 と笑顔で話していた。
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2013年12月8日08:33
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第359問
篠山市で箱わなにクマが掛かりました。 その種類は?
1.ツキノワグマ
2・ヒグマ
3・クマモン
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2013年12月8日08:30
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音楽ライブ 「COMSASA...
丹波市山南町応地出身の音楽家、 笹倉舞さん (神奈川県川崎市) らが出演する 「COMSASA CAFE―ゆめてんてん」 が12月14日、「rizm」 (旧米蔵、篠山市今田町下小野原7―2) で開かれる。
ボーカルの笹倉さんのほか、 コーラスの高島田薫さん、 パーカッションの加瀬田聡さん、 ピアノの山本佳祐さんの4人が出演する。
笹倉さんは、 宝塚北高校演劇科、 大阪芸大舞台芸術学科卒。 劇団四季で 「美女と野獣」 「夢から醒めた夢」 などに出演。 退団後は、 プロダクション子役養成スクール指導補佐、 ヨガインストラクターも経験。 学校訪問や施設訪問をしながら歌を中心に活動の幅を広げている。
昼の部は午後3時、 夜の部は午後6時開演。 大人2500円、 学生1500円 (当日・前売り共通、 小学生未満無料)。
チケットの問い合わせは、笹倉さん (comsasa_cafe@yahoo.co.jp)。
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2013年12月8日08:30
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「ダ・カーポ」が来丹 元アナとトークシ...
夫婦デュオ 「ダ・カーポ」 と、 元NHKアナウンサー村上信夫さんのトークショー 「丹波へ来るって本当ですか?」 が12月15日、 丹波の森公苑ホールで開かれる。 午後1時半開場、 2時開演。 市エグゼクティブアドバイザ
ーでもある村上さんがプロデュースする 「たんば・ときめきカルチャー」 の第5弾。
お馴染みのヒット曲とあわせて、 村上さんがやさしく透き通ったメロディ
ーの奥にある2人の思いを聞く。
ダ・カーポは、 1973年にデビュー。 翌年、 「結婚するって本当ですか」 が大ヒット。 裸の大将放浪記の主題歌 「野に咲く花のように」 「宗谷岬」 など数々のヒット曲のほか、 テレビ主題歌、 キャンペーンソングなども手掛ける。 今年6月には40周年記念として 「ダ・カーポオリジナル大全集122 (い~ふうふ)」 をリリース。
全席自由。 前売500円 (当日1000円)。 市総合政策課 (0795・82・0916)。
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2013年12月8日08:27
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危険物取扱者試験の受験者募集
来年2月9日に行われる、 危険物取扱者試験の受験者を募集している。 会場は篠山産業高校 (篠山市郡家) など。試験の種類は、 甲種、 乙種全類、 丙種。
申し込み先は、 消防試験研究センター兵庫県支部 (〒650―0011、 神戸市中央区下山手通5―12―7協和ビル5階)。 申し込み期間は、 ▽郵送・持参=12月11―20日。 土日祝を除く、 午前9時―午後5時 (郵送の場合は消印有効)。 願書は、 市消防本部に備えている▽電子申請=12月8―17日。 電子申請の方法などは、 同センターホームページ (http://www.shoubo-shiken.or.jp)。
篠山市消防本部予防課 (079・594・1118)。
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2013年12月8日08:27
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篠山市全職員が「一斉徴収」
今月、 来年2月、 4月に、 篠山市の全職員が約1300人の篠山市税滞納者宅を訪問し、 納付を促す。 従事する職員は319人、 延べ40日間実施する。 篠山市収税課 (079・552・1111)。
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2013年12月8日08:26
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ササグローがふるさと大使に
「霧海(むかい)の戦士SASAGROW (ササグロー)」が、丹波篠山ふるさと大使に就任した。篠山市出身者3人でつくる 「ささやまふれ愛フェスタ実行委員会」 が考案したキャラクターで、ショーを通じて篠山の魅力を内外に発信している。 12月3日、 市から委嘱された。 同大使には15人3組が就任しているが、 キャラクターは初。
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2013年12月8日08:24
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職員を本所に集約 支所常駐者ゼロに 丹...
丹波市商工会 (大地伹会長、 会員=1973人) は、 来年4月1日から事務局組織を改め、 職員を本所 (丹波市氷上町成松) に集約し、 支所に職員を常駐させるのをやめる。 支所の会館機能は残し、 申告指導や相談業務、 講習会、 会議などに使う。 商工会職員数が減るなか、 「経営支援を維持、 拡充するためで、 集約化は避けて通れない苦渋の措置」 と理解を求めている。 会員に文書で通知を始めている。
商工会職員は、 8年前の合併時は31人。 現在は嘱託、 臨時職員を合わせて21人に減っている。 商工会職員の人件費の大部分は補助金に負っている。 小規模事業者数によって補助額は決まり、 県内最大の会員数の丹波市商工会の規模でも、 補助対象となるのは16人分。 足らずは、 職員が取り扱う各種業務の手数料収入などでまかなっており、 今後も退職不補充などで減員が続く見通し。 同商工会は会員が拠出する会費相当額以上を、 支部や部会の事業に使っており、 職員給与には充当していないという。
本所に職員を集約し、 本所の中に支部担当職員を置く。 1支部1人とするのか、 複数の支部を1人で担当とするのかなど、 詳細はこれから詰める。
柏原、 青垣、 春日、 山南、 市島の5支所の 「会館」 は維持する。 経営相談業務などは、 原則、 職員が訪問して行う。 また、 会員1人ひとりに担当職員を割り当て、 担当者が 「よろず相談」 の窓口になる。 支所に電話をすると転送され、 本所につながるようにする。
現在、 氷上と柏原支所は全日常駐職員がおり、 青垣、 春日、 山南、 市島の4支所は平日午前8時半―正午の間、 1人が常駐し窓口対応をしている。
同商工会では、 「『繁栄する企業づくりをとおし、 地域活力を創造します』 の理念への取り組みに力を入れようという判断」 と、 理解を求めている。
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2013年12月8日08:23
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大晦日に再起戦 ボクシング・角谷淳志選...
今年9月、 WBC (世界ボクシング評議会) ライトフライ級タイトルマッチに挑み、 敗れた篠山市東新町出身のプロボクサー、 角谷淳志 (28) が、 今月31日に大阪市のボディメーカーコロシアムでタイ人選手との試合に臨むことがわかった。 世界戦では敵地メキシコに乗り込み、 苦杯をなめた角谷。 「世界戦を経験して、 いろんなものがふっきれた。 きれいに勝って、 いい新年を迎えたい」 と、 大晦日の再起戦に挑む。
試合はWBA (世界ボクシング協会) ライトフライ級王者、 井岡一翔が行う3度目の防衛戦の前座の一つ。
角谷は地元、 篠山市のボクシングジムで拳を鍛えた後、 自衛隊勤務を経て2008年にプロライセンスを取得。 天性の身体能力に加え、 硬く、 キレがあり、 相手の予測が難しいパンチを武器に、 10年度全日本新人王に輝いて日本ランク入り、 今年1月にWBA世界ランク入りを果たした後、 WBCにもランクされ、 タイトルマッチに臨んだが、 王者、 アドリアン・エルナンデスに4回TKO (テクニカルノックアウト) 負けを喫した。
現在までの戦績は18戦13勝 (6KO) 4敗1分け。
再起戦の相手は、 元東洋太平洋5位のタミンカオ・ソーターンティップ。 日本人選手との対戦もある。 現在、 タイのライトフライ級1位。
9月の敗戦後、 篠山市で開かれた報告会で 「まだ体も動くので、 もう少しだけ夢を見ようかなと思っている」 と再起の意思を表明していた角谷。 休養を経てトレーニングを再開しており、 井岡、 宮崎亮 (WBAミニマム級) の両チャンピオンとスパーリングをこなすなど、 大晦日へ向けた調整に余念がない。
角谷は、 「世界チャンピオンの拳を受けた後なので、 正直怖さはないが、 油断せずに試合に臨みたい」 と気合を入れている。 トレーナーの冴城辰弥さんは、 「世界戦後はモチベーションが下がっていた時期もあったが、 篠山の方々の応援もあって、 気持ちが戻ってきている。 1月3日が私の誕生日なので、 勝利をプレゼントしてくれるはず」 と笑った。
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2013年12月8日08:23
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氷上と多可結ぶ「清水坂トンネル」 12月2...
丹波市氷上町三原と多可町加美区清水を結ぶ県道丹波加美線の 「清水坂トンネル」 が12月21日午後3時に開通する。
同県道4423メートルのうち、 トンネル部分が1931メートル。 県道の愛称は、 氷上町上新庄出身で、 多可町加美区市原に養女に行き、 「三孝女」 に選ばれた森安小春さんにちなみ 「小春ロード」。 県道でありながら、 自動車が通れなかった通行不能区間が解消される。
同日午後1時から、 同トンネル多可町側抗口付近で、 丹波、 北播磨両県民局が開通記念式典を開く。 テープカット、 くす玉割り、 開通記念パレードを予定。 式典終了後の午後3時供用開始。
2005年度に事業着手し、 8年弱で完了した。 総事業費は約40億円。
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2013年12月8日08:22
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地元葛野の先輩、児童に紹介 「孝女」森...
県道丹波加美線 「小春ロード」 の開通を前に、 西小学校の畑義一校長 (58) が、 葛野生まれの故・森安小春の足跡を調べ、 小冊子 「『孝女 こはる』 を訪ねて」 (A4判13ページ) にまとめた。 取材成果を児童に披露し、 「孝女」 と呼ばれた小春のように、 「人を大事にする気持ちを持ってほしい」 と語りかけた。 小春が育った多可町の小学校では教材として使われていることから、 同校でも教材に使えないか考えている。
写真・地元のASC商工青年部が贈った額の前で、 森安小春に関する取材成果をまとめた冊子を手にする畑校長=西小学校体育館で
小春が養女に行った多可町加美区市原が、 小春にちなんで始めた村おこしが 「ちょっとてれくさい孝行のメッセージ」 の全国公募。 畑さんは、 同メッセージを集めた本を10年ほど前に読み、 小春の名前に覚えがあった。 西小学校に今春赴任して初めて、 葛野出身と知り、 トンネルで丹波市と多可町が結ばれる機会に、 両市町で生きた小春を取材することにした。
20年前に、 同校体育館に小春の偉業を伝える額を寄贈するなど、 小春の再評価活動を行ったASC商工青年部 (現・かどのASC) の元部員、 山口利和さん (氷上町三方) に話を聞いた。
足を運んだ市原では、 小春のために有志が費用を出し合って購入した 「孝行畠」 と小春の居宅の跡に整備された 「こはる公園」 で、 生前の小春を知る女性と知り合うことができた。
小春の母校、 杉原谷小学校では長年、 「孝行畠」 が教材として使われており、 最近、 新たに作った5年生向けの教材を見せてもらった。 生家から養女に行く際に、 小春が越えたであろう市町境の篠ケ峰にも登った。
冊子には、 小春の足跡とともに畑校長が撮った写真、 杉原谷小学校の学習教材などを掲載している。
畑校長は、 「親孝行という言葉は、 ともすれば時代遅れ的な感覚と捉えられることがあるかもしれないが、 親への感謝の気持ちを失ってはいけないと強く思うようになった」 と言い、 児童には、 「孝行」 の言葉を、 「人が喜ぶのを喜べる人になろう」 とかみ砕いて伝えた。 「森安小春さんを通して、 人を大事にする気持ちを持ってもらいたい」 と言い、 教材化を検討する。
森安小春 明治29年氷上町上新庄生まれ。 明治33年、 4歳で市原の森安家の養女となる。 幼い頃から家事をした。 明治41年、 養母が離婚し去り、 山仕事の父と2人に。 15歳の時、 父が仕事でけがをし、 足を切断。 父の看病、 日雇い労働、 戸主としての村づきあいなどをこなすうちに、 名が知られるようになった。 大正2年、 市原がある杉原谷村と多可郡教育委員会から表彰された。 大正2年、 3年に、 雑誌 「少女画報」 「婦人画報」 (ともに実業の日本社発行) で紹介され、 全国から激励の手紙が届く。 大正3年に出版社から全国の孝女・節婦三人の一人として表彰を受けた。 大正4年、 県知事特別表彰。 96歳で他界。
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2013年12月7日16:36
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東北・福島ルポ ―中― その笑顔の裏で
帰村宣言後も住民半数
一行を乗せたバスは美しい川面を横目に見ながら、 山あいの道を進む。 何気ない風景の中、 所々に黒い大きな袋が山積みになっていた。 その中には放射能に汚染され、 除染作業で剥ぎ取られた山肌の土や草などが詰められている。 それが今も集落のあちこちにあり、 中には家の庭に置かれているケースもあった。
福島県内全域で約2800万立方メートル (東京ドームの容積23個分) に及ぶ廃棄物は、 いまだそれらを保管する中間貯蔵施設すらできていない。 これが2年9カ月をへた福島の現状だった。
到着したのは、 双葉郡川内村にある 「五社の杜サポートセンター」。 目の前には50戸の仮設住宅が軒を連ねている。 川内村では、 歌声喫茶などのほか、 黒豆ごはんとさんまのつみれ汁の炊き出しも行った。
佳境に入った歌声喫茶では、 千昌夫さんの 「星影のワルツ」 を演奏。 ピアノ、 アコーディオン、 ギター、 ベースの演奏で、 メンバーも住民も一緒になって歌う。
「今日は最高だね。 こんなにたくさんの人が来てくれて、 時間がたつのも忘れちまった。 ありがとう。 本当にありがとうね」。 人一倍元気な歌声を披露してくれた住民の猪狩利夫さん (88)。 手押し車を押しながら、 「また来てほしいなぁ」 と言い、 自分の仮設住宅へ戻っていった。
事故当初、 福島第一原発から20㌔圏内が警戒区域、 20―30㌔が緊急時避難準備区域に設定され、 全村民が避難した川内村。 線量が低いことから2011年9月に緊急時避難準備区域が解除されたことに伴い、 昨年1月に 「帰村宣言」 を出し、 3月からは役場機能をはじめ、 避難先だった郡山市から住民が戻り始めた。
「帰村宣言をしたらみんな戻ってくると思っていたんです」。 同村社会福祉協議会の森雄幸さんは言う。 しかし、 実態は違った。 宣言直後、 村に完全帰村した住民は人口2840人中わずかに400人。 今年10月に行ったアンケート調査では、 週4日以上村にいる人は1500人まで増えたものの、 帰村率はいまだ50%を少し上回っただけだ。
「除染が進んでいない」 「仕事がない」 「店がない」 「進学先だった沿岸部が壊滅状態」 ―。 目に見えない放射能に対する不安は、 村に帰る気持ちを打ち消した。 特に幼い子どもを持つ親や、 未婚の若者世代は帰村率が低く、 村に戻ってきたのは大半が高齢者だった。
「これから40年か50年かわからないけれど、 低線量の被ばくと付き合っていかなければならない。 気持ちが何度も折れそうになるけれど、 みなさんがしてくださるような支援を受けて、 何とか勇気を出しています」。 一行と住民らが楽しいひと時を過ごしている間も、 30㌔先の福島原発では燃料棒の取り出し作業が行われていた。
宿泊先のいわき市へ向かう途中。 夜間の滞在が認められていない居住制限区域の富岡町を抜ける。 人の気配がなく、 民家の屋根は地震で落ちた瓦が修復されないまま。 田畑には雑草が生い茂る。
突然、 目の前の道にフェンスが現れた。 「この先、 帰宅困難区域」。 柵の向こうに見える家々は何の被害もないように見える。 しかし、 今この瞬間も放射線が飛び交っている。 ここから原発までの距離は10㌔もない。 人がいなくなった土地で、 冷たい光を放つ信号機が無意味に点滅していた。
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2013年12月7日16:21
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喫茶&バー「はじめの一歩」
蔵改装の憩いの場
篠山市南矢代の酒井収 (おさむ) さん (64) が 「友人と話したり、 みんなで集まってワイワイしたりして、 地域の活性化につながる憩いの場を」 と自宅の蔵を改装して、 11月1日にオープン。 外観はそのままに、 内装は木をふんだんに使い、 落ち着いた空間にした。
テーブルとカウンター席を用意。 コーヒーや紅茶、 ジュースなどのドリンク類は350円。 モーニング (正午まで) は同じ値段でトーストとゆで卵が付く。 軽食はピラフ (スープ付き) のみで400円。 飲み物とのセットは700円とお得。 夜の部はアルコール類が400円 (お菓子付き)。 持ち込みができる。 川柳や俳句などが書き込める雑記帳があり、 アットホームな店を目指している。
【メモ】営業は昼の部 (火曜定休) が午前10時―午後4時、 夜の部 (金、 土、 日曜のみ、 不定休) は午後6時―。 電080・1495・8098。 誕生パーティーや会合、 親睦会などに使える「貸室」 (月―木曜午後6時から、 火曜は午前10時から、 料金1人300円、 中学生以下無料)も。定員15人。篠山市南矢代173
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2013年12月5日09:03
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行政書士会無料相談会
12月7日午後1―6時、 柏原自治会館で、行政書士会無料相談会が開かれる。 相続、 遺言、 遺産分割協議書、 契約、 許認可などの相談に県行政書士会摂丹支部 (0795・77・0126) の会員が相談に乗る。 予約不要。
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2013年12月5日09:02
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県多重債務者協議会合同無料相談会
12月14日午後1―4時、 丹波の森公苑 (丹波市柏原町柏原) で、県多重債務者協議会合同無料相談会が開かれる。 借金問題で悩む人が対象。 債務整理相談を中心に、 家計管理相談、 クレジットの支払、 住宅ローンの支払で困っている人のほか、 こころの相談にも応じる。 予約が必要。 丹波消費生活センター (0795・72・0999)。
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2013年12月5日08:59
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東北・福島ルポ ―上― その笑顔の裏で
「帰りたい。でも不安」
丹波地域の住民らでつくる団体 「いのちのうた」 と、 介護保険事業者でつくる 「篠山市介護サービス事業者協議会」 が11月29日―12月1日の日程で、 東北・福島県へのボランティアバスを運行。 福島原発事故による放射能被害で故郷を離れざるを得なくなった人たちが暮らす仮設住宅に赴き、 ともに歌を楽しむなどの支援活動を行った。 本紙記者もメンバーに同行。 住民らは、 今、 故郷を離れて暮らす中でどのような思いを抱いているのか。 丹波地域に生かせる教訓はあるのか。 原子力災害がもたらす苦悩と、 それでも笑顔で暮らす人々の思いを追った。
日本三大桜の一つ 「滝桜」 が多くの観光客を呼ぶ福島県田村郡三春町。 ここに原発事故の影響で全村民が避難し、 現在も帰宅が認められていない同県双葉郡葛尾 (かつらお) 村の人々が生活する仮設住宅がある。
一行は、 約1500人の村民のうち約210人が生活する貝山応急仮設住宅を訪問。 イベントを知った住民ら30人が集会所に集まった。
「高校三年生」 「北上夜曲」「花は咲く」―。 いのちのうたメンバーの楽器奏者が奏でる音色に乗せ、 全員で歌う。 始めのうちは少し恥ずかしげだった人も時間の経過とともに気持ちがほどけ、 歌声は大きくなっていった。
アロママッサージやパステル画のコーナーでは世間話に花が咲く。 おじいちゃんが描く見事なツリーの絵に笑顔がはじける。 篠山市南矢代の酒井裕迪さん (68) 喜代美さん (67) 夫妻の南京玉すだれにもやんやの声援が飛んだ。
「みんなで歌ったら久しぶりに大きな声が出た。 一年分楽しませてもらった。 こんなイベントはとてもうれしい」。 住民の山田敏子さん (77) と松村絹子さん (78) はそう言って笑った。
「仮設に来てからご近所さんとの会話が減った。 お互いに気を使ってね。 だから家にこもって本ばかり読んでる。 近くて遠いのよ」と山田さん。 密集する仮設住宅は、 玄関を開ければ数歩でお隣りだが、 その近さが逆に関係を希薄にしている。
「いつかふるさとに帰りたいですか」 という問いかけに松村さんは、 「帰りたい気持ちもあるけど、 やっぱり放射能が不安。 それに帰っても店も病院もないし、 三春の方が何かと便利だからね」。 少し間を置いてから、 「でも、 村の家でこたつに入って、 ゆっくりしたい気持ちもあるよね。 もう2年以上前か。 懐かしいなぁ」 。 脳裏にはのどかな山村の景色がよぎっていたのだろうか。
葛尾村から原発までの距離は約20―30キロ。 事故後、 村は国や県に対応を訴えたが、 明確な回答がなかったため、 事故3日目の14日、 独自の判断で全村民の避難を決定した。
国は事故から1カ月以上たった4月22日、 村内全域を警戒区域、 計画的避難区域に指定。 今年3月に再編が行われ、 避難指示解除準備区域 (年間積算線量20ミリシーベルト以下)、 居住制限区域 (同20ミリシーベルト以上の恐れ)、 帰還困難区域 (5年を経過しても20ミリシーベルトを下回らない恐れ) に分割されている。
村が行ったアンケート調査によると、 避難指示解除後の帰還意思は、 約4割が 「戻る」、 3割が 「戻らない」、 「まだ判断できない」 が3割だった。
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2013年12月5日08:58
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秘密保護法
特定秘密保護法が成立する気配だ。 40年前、 外務省の機密が漏えいした際、 「保護法は絶対必要」 と国会で持論を述べた佐藤首相は、 草葉の陰でほくそ笑んでいることだろう。 ▼同事件で西山・毎日新聞記者は沖縄返還交渉に当たっての同省密約電信文を入手した。 表向き米国が支払うことになっていた地権者への土地原状回復費を、 実際には日本政府が肩代わりする内容。 ニュース源秘匿のため新聞では書けず後日、 野党議員に流して質問させたのが裏目に出て、 出所先の高官女性秘書が突き止められた。 ▼国家公務員法違反で逮捕された2人に対して、「血税を相手国のために使おうとした政府の裏取引を暴いたので弾圧された」 と世論の支持が集まったが、「記者が秘書と情を通じそそのかして取材」 との起訴状が発表されるや急に鎮静化。 ▼政府は公判でも一貫して密約を否定し、 西山氏は一審無罪が高裁で逆転され、 最高裁でも敗訴。 しかし2000年、 米国立公文書館に存在した一連の同交渉文書の内容が日本の研究者によって明らかにされ、 政府が 「機密」 を盾に隠し続けた虚がようやく白日の下に照らされた。 ▼秘密保護法は一般の国民には 「直接関係ないこと」 と受けとめられがち。 しかし山崎豊子「運命の人」ほか小説やドラマになった同事件を、 いま一度振り返ってみたい。(E)
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2013年12月5日08:58
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「倍返し」の活性化を
今年もあと1カ月になった。 今年は10月下旬に大手ホテルがメニューと異なる食材を提供していたことが発覚して以来、 次々と企業や会社が誤表示を発表し、 謝罪している。 「じぇじぇじぇ」 である。 6年前に大手食品メーカーが偽装し、 廃業に追い込まれるなど大きな損失を受けたにもかかわらず、 問題が再浮上。 企業倫理の欠如なのか、 表示のルールが甘いのか、 問題を先送りにせず、 課題を解決するのは 「今でしょ!」。 2020年のオリンピック開催地が東京に決まった。 「観光立国」 を目指している日本。 食の信頼を取り戻し、 「お・も・て・な・し」 の心で外国人を受け入れたい。
さて、 「来年のことを言えば鬼が笑う」 と言われるが、 政治、 経済にとっては、 重要な転換期にある。 丹波地域にとっては、 とりわけ、 「減反政策」 やTPP (環太平洋経済連携協定) について注目が集まる。 来年は、 農業が盛んな丹波地域にとって、 大きな分岐点となる可能性がある。
とは言え、 農業に関しては、 後継者の育成、 新規就農、 鳥獣害対策など、 いま起こっている問題に対してどう対処するかも問われている。 そんな中、 コメの食味コンクールで篠山の農家が、 初めて栽培した品種でいきなり、 県最優秀賞に選ばれたという朗報を聞いた。 九州などで主に作られている高温に強い品種を育てることで、 気温が高い昨今の状況下に対応する食味の高いコメとなった。 それぞれの知恵を出し合いながら、 この時代を乗り切りたい。
ところで、 今年の 「新語流行語大賞」 の一つが冒頭で抜けましたが、 来年は、 丹波地域の活性化の 「倍返し」 に期待。(坂井謙介)