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2016年12月15日19:32
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漱石に再会
いまさらながら、今年は文豪・夏目漱石の没後100年にあたることを知った。本屋では「漱石フェア」も行われている。“ブーム”に乗ったわけではないが、最近、「吾輩は猫である」を読み始めた。
読書に興味を覚えた中学1年生のころ、「何やら聞いたことがある」という理由で、この作品を読もうとした。親にせがんで本を買ってもらったが、当時の読解力では読み進めることができずに挫折。以来、自宅の本棚で眠り続けていた。約15年ぶりに手に取ったが、その横には「こころ」「坊っちゃん」の姿も。どれも読んだ記憶がない。すみません漱石さん、そのうち読みます。
漱石は、知人への手紙に「功業は百歳の後に価値が定まる」「余は吾文を以て百代の後に伝へんと欲する野心家なり」などとつづっている。100年を経た今でも、読みたいと思える漱石の作品。文豪とはいえ、個人的には何となくとっつきやすそうな印象がする作品群が、そう思わせるのかもしれない。
ちなみに、来年は漱石の生誕150年にあたる。しばらくは読む本に困ることがなさそうだ。(田畑知也)
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2016年12月15日19:32
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夢に見た場所
故郷の歌や踊りを持った人たちに、子どもの頃から憧れていた。お酒が入ると楽しげに歌い踊る様子が、実に郷土愛にあふれていて、美しくまぶしくみえた。故郷という土地を持たない私のような者にとっては、それは一生持つことのできない、手の届かない、遙かなる憧れの光景であった。自分はその輪に加わることは今までもこれからもずっとないだろうと思っていた。
ところで皆さんは、篠山には観光客の求めに応じボランティアで観光ガイドをする団体があることをご存じだろうか。その名も「ディスカバーささやまグループ」。1983年12月に設立された歴史あるボランティア団体である。
今年入会したばかりの私は、篠山愛にあふれ、知識も豊富な大先輩方から、多くのことを学ばせていただいている。贅沢なことに篠山の生き字引のような方々からお話を伺いながら現地を歩く研修もあり、篠山のことをより深く知ることができる。そして、ガイド活動でも観光客の心を鷲づかみにする大先輩の口上に見とれ感心しつつ、少しでも真似しようと今は必死である。
先日、忘年会があり、どなたから歌い始めたのだろうか、デカンショ節が始まり、こちらで歌が切れそうになるとそちらで誰かが歌い継ぎ、デカンショ踊りと共に、手拍子と合いの手が入り、最後には学生が巷で歌い継いできたという節まで飛び出して大笑いのうちに幕を閉じた。
夢に見た憧れの輪の中に、自分がいた。
(土性里花・グループPEN代表)
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2016年12月15日19:31
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高校生がXマスフェス企画 森公苑で12月2...
丹波市内の高校生有志7人でつくるグループ「TMB(丹波盛り上げ部)」が1月23日午後1時半―7時、丹波の森公苑多目的ルームで「真冬の熱血クリスマスフェス」を開く。市内全中学、高校の制服ファッションショーなど、高校生ならではの多彩な企画を用意。世代を超えた交流を目的にしており、子どもから大人まで広く参加を呼び掛けている。
ファッションショー(3時45分ごろから)は、主催者があらかじめ集めたモデルが制服とジャージを着てショーを繰り広げる。大人にも懐かしんでもらう趣向。「障害物リレー」(2時ごろから)は会場からも選手を募り、▽黒豆に見立てたピンポン球をスプーンにのせる「黒豆運び」▽イガグリ風の玉を使った玉入れ「イガグリ入れ」▽足つぼの「道」を歩く―などの障害をリレーで楽しむ。
「ミス・ミスター丹波グランプリ」(5時45分ごろから発表)は、「丹波栗のイガを踏んで『痛っっ!』って顔」をテーマに事前に募集。ネット投票(フェイスブックとツイッターで、22日まで)と、当日の会場で投票を受け付け、男女1人ずつグランプリを決める。
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2016年12月15日19:30
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来年1月5日「就職フェア」 丹波・篠山...
丹波地方の事業所10社が参加する就職フェアが、1月5日午後1時半から丹波の森公苑で開かれる。来春の大学・短大卒業予定者も含め、U・I・Jターン希望者が対象。求職だけでなく住まいの相談にも応じる。
兵庫労働局や両市などの主催。参加事業所は、篠山市の岩崎電機製作所、丹波ささやま農協、テクノワーク、ニッコー今田プラント、フルヤ工業、丹波市の大地農園、クロダテック、丹波ひかみ農協、東洋電機、柳瀬。10社以外の求人についても、ハローワーク柏原・篠山の担当者が相談に応じる。
同フェアには、両市が移住相談窓口として委託している機関の担当者が参加し、I・Jターン希望者の住まいの相談に応じる。
これまでから大学・短大卒業予定者やUターン希望者を対象にした就職フェアは開催しているが、I・Jターン希望者も対象にしたのは初めて。帰省に合わせて1月早々に企画した。問い合わせはハローワーク柏原(0795・72・1070)。
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2016年12月15日19:28
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ヘラブナ3000匹放流 鍔市ダム 「釣り楽...
写真・ヘラブナを放流する漁業組合のメンバーたち=篠山市火打岩で
篠山市火打岩の住民でつくる鍔市太郎漁業組合(樫尾嵩組合長、40人)が1月11日、集落内にある鍔市ダムにヘラブナ約3000匹を放流した。釣り人に楽しんでもらおうと、毎年この時期に放流している。
体長25―30㌢のヘラブナが入ったコンテナをバケツリレーの要領で数匹ずつ湖面まで運び、そっと水中へと放していた。
樫尾組合長は、「静かな場所で、ゆっくりと1日釣りを楽しんでもらえれば」と話していた。
釣りをするには入漁権が必要。問い合わせは同組合の畑昭年さん(079・552・2520)。
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2016年12月15日19:26
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脱サラし「丹波栗きん豚まん」製造 春日...
写真・「丹波栗きん豚まん」の製造、販売を始めた吉見憲明さん、順子さん夫妻=丹波市氷上町上新庄で
丹波市春日町小多利の吉見憲明さん(48)が、「吉吉(よしよし)」の屋号で、丹波栗のB級品を餌に与えて育てたうま味成分の高い豚肉「丹波栗きん豚」を使った豚まん「丹波栗きん豚まん」の製造、販売を始めた。丹波市でしか買えない同豚肉を使った、ほかにはない豚まん。催事に出店するほか、「アルティ」(春日町黒井)で定期的に販売する。「肉の臭みが少なく、あっさり食べられる。身近な食べ物として浸透させたい」と意気込んでいる。
自宅に隣接して加工場を作り、菓子の製造免許を取得。11月3日の春日文化祭でデビューした。皮から手作りしている豚まんは1個250円、110㌘ほどある。あんは、同豚肉のミンチとタマネギのみ。「甘味があり、かんだ時に肉やタマネギを感じてもらえる食感にしている。あっさりしていて何個も食べられると、女性や子どもに喜ばれている」と吉見さん。
「アルティ」の店員で、同豚肉のテーマソングを作るなど「栗きん豚」の普及に注力している妻の順子さん(42)と、かねがね、家族中大好きな同豚肉を手軽な形で食べてもらいたいと考えており、8月に脱サラし、豚まん製造に打ち込むことになった。
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2016年12月12日18:26
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第501問
このほど設立された丹波市俳句協会。関わりを持っていないイベントはどれ?
1.シルバー俳句フェス
2.田ステ女俳句ラリー
3.たんば青春俳句祭
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2016年12月12日18:26
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篠山東雲高校農業教諭 菊川裕幸さん(三...
全国最優秀賞に導く
篠山東雲高校の農業教諭。10月に大阪・堺市で行われた「日本学校農業クラブ全国大会」のプロジェクト発表で、昨年度から放置竹林の竹の活用方法を研究している同校「ふるさと特産類型」の生徒たちを最優秀賞に導いた。同校初で、県内でも全国最優秀賞を獲得しているのは県立農業高校との2校だけ。
竹を粉砕したチップを下水汚泥に混ぜて堆肥化したり、家畜飼料として活用、また、竹を燃やして水素を取り出すボイラーや、竹製農業用ハウスを製作するなど、地域の人を巻き込みながら展開した研究が高く評価された。
同校特別非常勤講師の三輪邦興さん(丹波市氷上町)から「竹粉で黒豆を作ってみないか」と提案を受けたのがきっかけ。最初は黒豆畑に草抑えとして敷くことから始めた。様々な人がアイデアを持ってきてくれたり、協力を求めてくるうちに研究内容は多彩になった。
昨年の農業クラブ県大会。手応えはあったのに最優秀賞を逃す口惜しさを味わった。「小規模校なのに、こんなことまでできるのかということを証明したかった。賞を取るためにやっているのではないけれど、地域の人にも関わっていただいている以上、1位を取ったと報告したいと思った」と振り返る。
以降、より専門性を高め、地域により密着した取り組みを意識した。生徒にも向上心が見え、自らで考え、楽しむ活動になっていった。大会では、研究成果とともに自分たちで汗して動いたしんどさや思いが伝わる発表にしたという。
「将来、篠山に戻って、それぞれの立場で地域の問題が解決できる生徒を育てたい」。伊丹市出身。27歳。(芦田安生)
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2016年12月12日18:24
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思いやる
作家の池波正太郎は大の電話嫌いだったらしい。食事中は、絶対電話に出ない。トイレに入っている時は、電話に出ないどころか怒り狂った。なのに、3回続けてトイレの使用中に電話をかけてきた編集者がいた。その編集者は出入り禁止になったという。▼こちらの事情を推し量ることなく無遠慮にかかってくる電話。その傲慢さが癇に障ったのだろうが、現代は、電話どころではないほどにコミュニケーションの媒体が進化している。▼ディスコミュニケーションという言葉がある。コミュニケーションの断絶という意味だ。逆説的だが、媒体が進化すればするほどに断絶が深まると言われる。たとえば、電車内での携帯電話での会話。楽し気に長々と話をしている人の目には、周りの人が見えていない。他者は存在していないのだから、他者に対する気遣いなどあるわけがない。▼本紙前号に載った篠山東中学校の中川拓紀君の人権作文に、「多くの人が一緒に生活するためには、お互いの心を『くみとる』ということと、『思いやり』の精神を持つのが大切」とあった。▼ディスコミュニケーションが進行している今、人と人を断ち切らず、人をつなげる「くみとる」「思いやる」という行為はますます大切になっている。中学生の初々しい主張に謙虚に耳を傾けたい。(Y)
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2016年12月12日18:24
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神様はいずこへ
あるお寺で取材していた際、住職からこんな不思議な話を聴いた―。
同寺の近所に住む農家のおばあさんは、日照りが続き水不足になると、決まって賽銭とお米を握りしめ、山腹にある寺の本堂にお参りにやって来た。堂内の観音像に向かって「雨を降らして」と祈願。すると、7割ほどの確率で雨が降ったのだそう。願いが叶うとお礼参りにやって来て、お堂の扉の格子の上に米粒を置き、感謝の言葉を捧げていたという。
続いては、“降霊”行事。大勢の村人が定期的に同寺のお堂に集まり、太鼓を打ち鳴らしながら、いわゆる「イタコの口寄せ」を行っていたというもの。日々の生活の困りごとなどを相談すると、神がのりうつった村人が解決のヒントなどを授けてくれるのだ。その神というのは、「伏見の稲荷」ということもあれば、同寺の茶の木の下に巣食うヘビということもあったそうだ。いずれも実話。
高度成長を迎える以前の昭和30年代までの出来事という。わずか50数年ほどの間に、私たちの身近にいた神様は、いったいどこへ行ってしまったのだろう。(太治庄三)
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2016年12月12日18:23
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丹波市俳句協会
十二月三日、丹波市俳句協会が設立された。これまで五月に「田ステ女俳句ラリー」、十一月に「青春俳句祭」がそれぞれの実行委員会の尽力で開催されていた。それが一つにまとまり、市民活動課に事務局が置かれることとなった。また事業としてあげられたのは丹波市に関わる著名俳人の顕彰、青少年の俳句文化の定着に関する事業、丹波市の俳句文化振興に関する事業等々。丹波は元禄時代の女流俳人「田ステ女」をはじめ、西山泊雲、野村泊月、西山小鼓子、片山桃史、細見綾子など、優れた俳人を輩出した地、そのことをもっと地元の方たちに知ってもらいたい。
俳句で一番大切なのは季語。これは春夏秋冬というはっきりと四季のある国ならではの恩恵であり文化。今頃なら凩、師走、時雨、炬燵、着ぶくれ、湯豆腐、おでん等々、普通の暮らしそのものが季語になる。この日、記念講演をして下さったのは俳人茨木和生氏。氏の主宰されている結社の師系は松瀬靑々。靑々は細見綾子が若くして寡婦となり丹波で療養中のときに医者から俳句を勧められたときの師でもある。「師弟の句」と題して、松瀬靑々が当時の丹波の俳人に請われて黒井で何度も句会をした話、また丹波の風景を愛したこと、「思い遣る」という方法で俳句を詠んだことなど、初学の頃の綾子の俳句についても話された。
これまで俳句ラリーや、青春俳句祭を続けて来られた方々の努力に改めて敬意を表すと共に、月に一度丹波の句友と句会を囲む者として、丹波俳句協会の益々の発展を祈りたい。
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2016年12月12日18:22
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話し方のこつを伝授 住吉台の渡辺さん ...
元ラジオ大阪アナウンサーの渡辺剛夫さん(73)=篠山市住吉台=が、著書「スピーチ・プレゼンテーション・会話上達読本」を出した。アナウンサーとして活躍したのち、話し方や朗読の教室を開き、延べ約3000人を指導した渡辺さんが、これまでの体験に基づき、上手に話ができるようになるこつを伝授したノウハウ本。「話し方は技術です。技術を磨く参考になれば」と話している。
渡辺さんはラジオ大阪を退社後、株式会社フェームを設立。若者から高齢者まで広く話し方を教えており、「話すことに負担を感じている人は多く、就職試験や昇任試験を控えた学生や会社員、スピーチやプレゼンテーションなどで悩んでいる人たちなどが学びに来られる」という。
渡辺さんは、▽美しく日本語を話してほしい▽自信を持って堂々と話してほしい▽説得力を身につけてほしい▽格好良くスピーチやプレゼンテーションをしてほしい―との願いを持って同書を執筆。あがり癖や、声が小さく暗い、発音が不明瞭などの解決法を説き、話し方の上達に効果がある腹式呼吸法についても説明している。「実践・演習」編として、渡辺さんの声も入ったCDも付いている。
渡辺さんは15年前に篠山市にIターン。丹波新聞社で開講のカルチャーセンターでも教えるなど、丹波地方でも話し方を指導してきた。
同書は2000円(税別)。アマゾンで販売している。問い合わせはフェーム(050・7100・5817)へ。
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2016年12月12日18:20
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ざわざわカレッジ 12月13日、柏原で
丹波医療ざわざわカレッジ(丹波医療再生ネットワーク主催)が12月13日午後7時半から柏原住民センターで開かれる。日本尊厳死協会関西支部の小澤和夫さんが「尊厳死―あなたらしい最期の迎え方」と題し講演する。無料で誰でも聴講できる。問い合わせは里さん(0795・80・1201)。
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2016年12月12日18:20
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「大森夢ナリエ」休止 氷上町谷村・光で...
写真・「大森夢ナリエ」を彩った人形と大森さん一家。休止告知看板の前で=丹波市氷上町谷村で
自宅と隣接する畑などをイルミネーションで包み、丹波市の12月を彩る光の一大ページェント「丹波大森夢ナリエ」(丹波市氷上町谷村)が、今年から休止になる。連日訪れる見物客に休止を知らせる看板を出し、周知につとめている。ほかに大規模電飾に取り組むところもあることから休止を決めた。大森さん一家は、「道具はあり、二度としないと決めた訳でもないが、長い間お世話になり、ありがたかった」とひと区切りつけた。大森栄司さん(47)がつくる名物の干支のしめ飾りの展示は継続する。
1990年に4000球からスタート。年を追うごとに電飾の数が増え、母屋だけだったのが隣の畑も飾るなど拡大を続け、2013年に18万球でピークに。この間、09年は新型インフルエンザの流行、11年は東日本大震災の発生で開催を自粛。昨年は住宅リフォームのため休止した。
見事な電飾が評判を呼び、NHKテレビに3年連続生中継されるなど、メディアにも多数露出。見物客の車で渋滞が発生したり、バスで見学に来る人、遠くは北海道や千葉県からも見物客が訪れた。
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2016年12月12日18:17
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「VR」の望遠鏡設置 デカンショ館
写真・デカンショ館に設置された望遠鏡型VR=篠山市北新町で
丹波篠山デカンショ館(篠山市北新町)に、最新のVR(仮想現実)技術を使用した「デカンショ館VR望遠鏡」がお目見えした。望遠鏡をのぞき込むと、デカンショ祭りをはじめ、市内のさまざまな祭りや自然が目の前にあるように体感できるもの。近年、ヘッドギア型のVRはゲームなどを中心に普及し始めているが、望遠鏡型のVRは日本初とされ、最新技術を使って、篠山の魅力を伝える。
VRは機器を通して映像を見せ、目の前に3次元空間が広がっているような感覚を演出する技術。設置された望遠鏡では、音楽とともにデカンショ祭や波々伯部神社の祭礼、河原町妻入商家群、大国寺や洞光寺の紅葉、今田町の山並みや丸山集落の景色などの約4分40秒の映像が流れ、望遠鏡を動かせる180度の空間が広がる。
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2016年12月8日17:56
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清養寺(養父市九鹿馬瀬)
創建は奈良時代、女帝元正天皇朝の715年である。開創の百済系渡来人の僧行基(668-749)は、主として畿内にあって、道場や仏閣を多数建立しただけでなく、その他公共事業のボランティアとして広く民衆に支持された。政権側からは疎まれた存在だったが、741年に東大寺造立の実質責任者として聖武天皇に招聘され、菩薩という諱(イミナ)も贈られたほどの傑物。八鹿町元町を出発して名草神社へ通じる妙見街道の馬瀬のバス停留所を少し上がった所に佇む古刹である。辺りは穏やかな雰囲気が漂っている。
本堂の右側の欄間にそれはそれは巨大な竜(3㍍前後)が1頭首を左から右下方に曲げて辺りを睨んでいる。屋内であるゆえ、風化せず欅が飴色で美しい。目の縁も赤みを帯び、長い銅線も立体的、宝珠も中央に位置し、躍動感あふれるものだ。別の欄間の波と千鳥もいい。6代目中井権次正貞の大作である。
中井権次研究家 岸名経夫
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2016年12月8日17:55
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浦宮神社(宮津市中津宮の谷)
祭神は少童命(海神ワタツミノミコト)、創祗年代は不詳。古くは波穏やかな栗田湾に面した中津浜に鎮座していたが、文化元年(1804)に山裾に遷座した。現在の社殿は比較的新しく、昭和10年前後のものらしい。この湾に面して、上司の住吉神社、中津の浦宮神社、そして小田宿野の久理陀神社があり、すべて海の神を祀っている。太古の昔から船を使って鉄や玉の交易をやっていたのかもしれない。
勾配のきつい石段を上る。本殿に見栄えのする彫り物がしつらえられている。中央向拝に左上方を睨む竜がいる。舌がピンと上に立ち、目の後ろが赤く塗られている。いらかも力強い。ただ銅線の髭が無いのと、宝珠が外を向かずに上を向いている。木鼻の唐獅子と象は大きな造りで、迫力があって美しい。手挟みには松と躍動的な鷹が目に入る。物資統制がきつくなり、素材が欅から檜になった時代の9代目中井権次橘貞胤の力作である。
中井権次研究家 岸名経夫
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2016年12月8日17:54
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この世界の片隅に
アニメ映画「この世界の片隅に」が静かな人気を呼んでいる。原爆投下以前の広島や呉の風景を、片渕須直監督が資料を徹底的に調べ、古老らからも取材して再現したという。原爆ドームとなった産業奨励館のほか、レトロな商店街や遊郭の界隈が、いかにも「こうだったんだろうな」と思えるほどに描かれている。▼もっとリアルだったのは、原爆が落ちた瞬間の、主人公北條すずの家。爆心地から20㌔離れた呉市郊外にあり、この朝、広島の実家に帰る予定だったすずは、義姉に手伝ってもらって支度をしていた。▼家全体が閃光で真っ白になったかと思うと、すぐ元の静けさに。近所から「今の何やった?」「雷かいのう」と声が聞こえてくるのと同時に、屋根の瓦がぱらぱらっと落ちてきた。「新型爆弾」と人々が理解できたのは、ずっと遅くなってからだったろう。▼広島の湾岸で海苔を干す実家から、呉の海軍の事務所に勤める夫の家に嫁いだすずは、どこかぼーっとしているが、芯はしっかりして生活力たくましい女性。広島弁の声が実に懐かしく聞こえたが、演じた女優「のん」が、朝ドラ「あまちゃん」の能年玲奈の新しい芸名とは、映画館を出てから知った。▼戦争そのものについて何も言わないのに、多くのことを考えさせ、もう一度観たいと思わせる作品である。(E)
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2016年12月8日17:54
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プロボクシング・角谷淳志選手 「引退」...
篠山市東新町出身で、日本ライトフライ級4位のプロボクサー、角谷淳志選手(31)=金沢ジム=が、12月28日午後7時から大阪市立阿倍野区民センターで、日本フライ級14位の油田京士選手(26)=エディタウンゼントジム=と対戦する。今年4月の日本ライトフライ級タイトルマッチで敗れ、一度は引退を決めていた角谷選手。休養を経て、再び立ち上がる今回の試合をWBOアジアパシフィック王座への前哨戦と位置づけており、「年齢的にも負けたら本当に終わり。必ず勝って先に進む」と気合を入れる。
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2016年12月8日17:53
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ジャネーの法則
師走になった。ついこの前まで半袖だったのに、気が付けばセーターを着こむようになった。年々、時間が過ぎるのが早くなっているようだ。
世間話の中でも、「最近は1年たつのが早いわぁ」などとよく聞く。この感覚は多くの人に共通するようなものだと思う。
調べてみると、なんと19世紀にフランスの哲学者ポール・ジャネさんという人がこの感覚を法則化することを発案し、甥のピエールさんが「ジャネーの法則」という名で紹介していた。
いわく、時間はすべての人に等しく流れているが、5歳にとって1年は人生の5分の1、50歳にとっては50分の1になるので短く感じる。また、体験が増えるうちに新鮮味がなくなることや、同じことを繰り返す生活になることも体感時間を早めるという。
人よりも時間を長く感じたいわけではないが、加齢以外の要因は防いだほうが実りのある生活のように思える。
来年は新しいことにチャレンジし、新鮮な時間を過ごすことで、長い一年だったと思いたい。が、それも毎年言ってることジャネ? 失礼しました。(森田靖久)