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切り抜き詳細
発行日時
2015-3-15 8:44
見出し
文語調の歌
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4183
記事詳細
「卒業式の歌」 と聞いて思い浮かぶ一つが 「仰げば尊し」 だが、 文語調で意味が難しいとあって最近、 歌われなくなっていると聞く。 確かに誤解しやすい歌詞がある。 ▼ 「仰げば尊し わが師の恩。 教えの庭にも はや幾年 (いくとせ)。 思えばいと疾 (と) し この年月。 今こそ別れめ いざさらば」。 例えば 「いと疾し」。 字にすれば 「とても早い」 という意味であることが理解できるが、 耳で聞くだけだと 「いとしい」 と誤解し、 「思えば愛 (いと) しきこの年月」 と間違えやすい。 ▼ 「今こそ別れめ」 もそう。 これは 「さあ、 今別れましょう」 という意味なのだが、 「今こそ別れ目」 と読み取り、 別れる時という意味に勘違いされることが多い。 かくいう筆者もつい最近まで 「別れ目」 と思ってきた。 ▼唱歌 「故郷」 にも、 似たような誤解がある。 「兎追いしかの山」 を、 「兎美味 (おい) しい」 と思い込んでいた人は少なくないという。 かくも誤解しやすい文語調の歌だが、 良さもある。 大人になると、 歌に託された情緒がしみじみ味わえることだ。 ▼丹波地方の出身者の会に出席すると、 全員で 「故郷」 を歌うことがある。 陶酔しているように歌っている出席者は少なくない。 子どもの頃にはピンとこなくても、 年を重ねると、 歌詞が心にしみる。 本物が持つ味わいというべきか。(Y)