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切り抜き詳細
発行日時
2015-3-8 8:30
見出し
「ありがとう」
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4176
記事詳細
丹波市が募集した今年度の 「丹 (まごころ) の里ありがとう大賞」 の入賞入選作を集めたパンフレットを読んだ。 その中に心に残る1編があった。 青森県の32歳女性が息子におくった 「ありがとう」 のメッセージだ。 ▼ 「ママ、 たくさん幸せになってね」 と言いながら、 小さな息子が四つ葉のクローバーを手渡してくれた。 女性は、 幼子ながら 「幸せ」 という言葉を知っていることに感動したという。 ▼作品はこう続く。 「あれから月日は流れ、 様々な悲しい事があり、 もう息子に会えません。 それでも私の心には、 あの時の息子の言葉がしっかりと刻まれ、 お財布にはクローバーが大事にしまってあります。 ママの方こそ、 どうもありがとう」。 会えなくなった息子。 不幸にも亡くなられたのだろう。 ▼文筆家の相馬御風は、 3人の男の子を亡くした。 「決して幸福であったと言うことはできまい」 という過去を背負いながら、 御風は 「悲しみは私達の心を浄化する」 といい、 「悲しみによって浄化され、 死によって浄化された超越的心境」 を尊んだ。 ▼先の女性は、 とめどない涙を流したことと察する。 心もかきむしられたに違いない。 しかし作品には、 抑制された落ち着きがある。 御風の言うように心を浄化されたのだろう。 そんな心からつむぎ出された 「ありがとう」 に感銘する。(Y)