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切り抜き詳細
発行日時
2015-2-15 8:53
見出し
『徒然草を読む』
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4149
記事詳細
柏原厄除大祭が終わると、 厳しかった寒さも次第にやわらぎ、 暖かくなるといわれる。 春までそう遠くないことを思う。 『徒然草』 を著した兼好が言ったように、 まさに 「四季は、 なほ、 定まれる序 (ついで) あり」 だ。 季節の移り変わりには決まった順序がある。 ▼ 『徒然草を読む』 という本がある。 旧制柏原中学校 (柏原高校) 出身で、 医師であり、 歌人、 作家でもあった上田三四二氏が徒然草を読み取った本だ。 ▼上田氏は、 柏原中時代に教科書で学んだ徒然草は、 教訓めいた内容で退屈だったという。 しかし、 40代にがんに侵され、 その後も再発するなど、 「この世の果てをうかがうような事柄に立ち会って」、 徒然草の言葉が心に入ってきた。 ▼兼好は四季には順序があるが、 「死期は序を待たず」 という。 死は順序もなく突然やってくる。 このように人生は有限であり、 明日知れぬ命だからこそ、 「存命の喜び」 をかみしめなければならない。 「先途なき生」。 それが徒然草の本旨だと、 上田氏は書いた。 ▼上田氏の小説 『祝婚』 に、 「残された日の量 (かさ) は測りがたかったが、 一日生きれば一日は余禄であり、 恩寵であった」 とある。 兼好のいう 「存命の喜び、 日々に楽しまざらんや」 さながらだ。 この小説を書いてまもなく上田氏は亡くなった。 2月15日は 「兼好忌」。(Y)