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切り抜き詳細
発行日時
2015-1-8 8:33
見出し
また、 帰るからね。
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4102
記事詳細
お正月は義母の住む広島で迎えた。 一人暮らしの義母は、 一緒に過ごす4日間を楽しみに、 私たちの好物を毎日少しずつ買い揃えては会える日を、 心待ちにしてくれている。 81歳になる彼女は、 五島列島の福江で生まれ育ち、 少女時代を過ごした。 よく島の豊かだった海の思い出話を聞かせてくれる。 ―アワビは一回で岩から落とさないとひっついて離れなくなるの。 そしてね、 必ず夫婦でいるからひとつあるともうひとつ、 見つかるのよ。 ウニは磯鍵で中身を取り出してね、 潮水で静かに内臓をゆすり洗ってから食べるの。 甘くて美味しかったねぇ。 ひと月に一回、 大潮の夜に松明を持って浜辺に出る夜磯というのがあってね、 灯りに集まってくるんだろうねぇ、 ナマコやタコが寄ってくるの。 島の子どもたちは5歳ぐらいになると船の底板につかまって、 もう海で泳いでた。 大人が見てなくても、 溺れたなんて話は聞かなかったねぇ。 五島は台風銀座なんて呼ばれててね、 台風が来るとお父さんが地下足袋はいて腰に鎌さして玄関に座っているの。 騒ぐと怒られてねぇ、 台風の時は静かにじっとし ていたよ―。 海のない埼玉で生まれ育った私には全てが夢のようで美しい物語となって、 耳に心地よく響いてくる。 母を町の中の狭い家ではなく、 もう一度その浜辺に立たせてあげたいと思うが、 もうすでにその美しい海はない。 私たちが帰って静かになった家で、 もう二度と帰ることのできない懐かしい海を、 その目にひとり写しているのだろうか。 (土性里花・グループPEN代表)