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切り抜き詳細
発行日時
2014-12-14 8:52
見出し
西郷隆盛はいるか
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4085
記事詳細
坂本竜馬が、 西郷隆盛の家で泊まったときのこと。 質素で小さな家なので、 寝床にいる竜馬の耳に西郷夫婦の会話が聞こえてきた。 「家の屋根が腐り、 雨漏りして困っています。 どうか修繕してください」 と妻。 それに対して西郷は 「今は、 日本中が雨漏りしている。 我が家の修繕などしておれん」 と答えた。 ▼竜馬はすっかり感心したらしいが、 それは竜馬ならずともだ。 西郷の言葉に、 「節義廉恥 (れんち) を失いて、 国を維持するの道、 決してあらず」 というのがある。 国を治める者には、 道義心や恥を知る心が何より肝要とした。 我が家よりも国の雨漏りを案じるのは、 そんな高潔さゆえだ。 ▼現今の日本も至るところで雨漏りしている。 ついつい西郷のような人物が今にいればと愚痴りたくなるが、 これは、 勝海舟が生きていた時代もそうだったらしい。 西郷亡き後、 世間では 「西郷がいたら」 という声が出た。 ▼西郷とは肝胆相照らす仲だった勝だが、 そんな世間の声を 「西郷が今生きていたとしても、 もはや老いぼれ爺だ」 と一蹴した。 「人材は今でもどこにでもいる。 人材がいないのではなく、 人を見る目がないのだ」 というのが勝の主張だった。 ▼きょう14日は衆院選の投開票日。 西郷に匹敵する人物はいるのだろうか。 そう思えないとすれば、 人を見る目がないのか。(Y)