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切り抜き詳細

発行日時
2014-10-26 9:15
見出し
至福の時間
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4022 至福の時間への外部リンク
記事詳細
 小学校卒業の学歴で、 苦学して今の弘前大学の教授になった春日出身の国文学者、 三浦圭三氏は深夜、 書斎にこもったらしい。 夕食がすむと寝床に入り、 深夜2時に起きる。 そして朝方まで学問にいそしんだそうだ。 三浦氏の子女に以前聞いたところ、 それは三浦氏にとって至福の時間だった。 ▼その時間、 三浦氏は読書にふけりもしたろう。 暗闇の底で、 音も絶えた中での読書。 本の言葉が胸にしみ込んだに違いない。 読書は、 沈黙の世界に身を置いてするもの。 気軽な本ならいざ知らず、 じっくり味わいたい本を読むならば、 沈黙の中にあって本に向き合うのがいい。 ▼読書は、 言葉と出会うことだが、 思想家のマックス・ピカートが 「沈黙なくして言葉は存在し得ない。 もし言葉に沈黙の背景がなければ、 言葉は深さを失ってしまう」 と言ったように、 言葉は沈黙を背景にしてこそ光彩を放つ。 ▼雑音が耳を騒がす環境下では、 どんな名言にふれても、 言葉の滋味をかみしめることはできない。 沈黙の世界にひとりでいると、 自分に向き合わざるを得ず、 おのずと本の言葉が自分の内面へ滑り込みやすい。 ▼ 「いい言葉を沢山もつことは、 銀行に沢山、 預金するよりも豊かなことである」 (寺山修司)。 せいぜい至福の時間を持ち、 いい言葉に出会いたい。 あす27日から読書週間。(Y)