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切り抜き詳細
発行日時
2014-8-10 8:23
見出し
浴衣
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3937
記事詳細
篠山の夏の風物詩、デカンショ祭に行くため、 年に1回は浴衣を着る。 こざっぱりとした美しさがある浴衣だが、 もともとは入浴用の衣類だった。 昔の上流貴族は浴衣を着て、 蒸し風呂に入った。 時代がくだって、 入浴後に着るようになったのだが、 いずれにしろ風呂と結びついた衣類だった。 ▼ 「西洋の風呂は事務的で、 日本の風呂は享楽的だ」 と言ったのは哲学者の和辻哲郎だ。 日本人にとって風呂は、 心身をのびやかにさせ、 人生を楽しむためのもの。 そんな文化の中で生まれた浴衣は今、 風呂よりも夏祭りを彩る衣類となった。 ▼浴衣を着て踊る。 「おどる」 は 「躍る」 とも 「跳る」 とも書く。 生きている喜びが実感できる時には心が躍る。 元気よく跳びはねている子どもの姿からは、 生きている喜びが伝わる。 「おどる」 とは生の歓喜の表現に他ならない。 ▼デカンショ祭で夜空の下、 多数の人々が幾重にも輪をつくって踊る総踊りには高揚感がある。 日常の拘束から解き放たれた奔放な明るさがある。 生の歓喜に加えて、 踊る人、 見る人も一体となった、 生の交歓がある。 ▼夏祭りの踊りも、 風呂と同様に心身がのびやかになり、 人生を謳歌するもの。 だからこそ踊りには浴衣がよく似合う。 年に1回ではなく、 着る機会が増えれば、 より愉快な人生になるかもしれない。(Y)