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切り抜き詳細
発行日時
2014-6-26 13:17
見出し
思い出の食べ物
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3894
記事詳細
「てぃー・たいむ」 (先月22日号) に土性里花さんが食べ物の好き嫌いについて書いている。 父の笑顔を思い出させる 「伸びきった麺」 が美味しく、 みかんには兄の悲しい顔が浮かぶのであまり食べないとか。 ▼ 「あなたにある物語は?」 と問いかけられ、 春秋子のそれを思い起こすと、 まず、 アンパン。 小学校の入学式の日に帰宅後、 母が 「これは今日だけやで。 特別の日なんやからね」 と念を押して出してきた。 早速ぱくついたが、 子供の舌にも酸っぱくて何やらおかしい。 母が 「どれ、 貸してみ」 と中を調べると、 奥の方はカビだらけだった。 以来、 アンパンにはとりわけ執着し、 一時は毎朝食べていた。 ▼あまり食べたくないのは、 せんべい。 終戦後、 父が石生の駅前でせんべい屋をしていて、 夕方に多くの客が1袋5円の屑せんを買いに来ていた。 小1の時、 父が工場をたたんで柏原に引っ越した際、 せんべいを詰め込んだ1斗かんをいっぱい持ち込み、 おやつは半年間ほど、 ずっとせんべいばかりだった。 ▼西川きよし氏が講演で 「子供の頃、 夏はおかんに 『腹が減らんでええ』 と毎日スイカばっかし食わされた。 だからスイカは見るのもいや」 と話した気持ちがよくわかった。 春秋子の物語も、 土性さんのように豊かな感性によるものではなく、 もっぱら食い意地故のものだ。(E)