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切り抜き詳細
発行日時
2014-6-22 8:40
見出し
「まことの威厳」
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3890
記事詳細
本紙5面でも大きく取り上げるなど、 今ちょっとしたブームになっている黒田官兵衛。 希代の軍師として知られるが、 家臣に対する物腰は柔らかかったらしい。 ▼官兵衛は常々、 「威厳と高慢は違う。 威張り散らすのは、 威厳ではない。 家臣にも礼譲の心で接すれば、 自然と敬われる。 それがまことの威厳というものだ」 と語っていたという。 同じく戦国武将の一人、 前田利家にも似たようなエピソードがある。 ▼利家より23歳も年下で、 地位も低かった福島正則から2匹の鯉が、 利家の館におくられてきた。 利家から礼状を書くように命じられた家臣は、 「鯉二尾到来、 満足せしむ」 と書いた。 差し出す前に礼状をチェックした利家は、 家臣をしかりつけた。 「目下の者に対する手紙ほど、 丁寧に書くべき。 見下した書き方は高慢であり、 高慢なふるまいは愚か者がすることだ」。 ▼威圧的な言葉遣いや態度は、 人を従わせることはできても、 人の敬愛は得られない。 戦国時代だけでなく、 現代にも通じる教えだ。 権力を行使できる座にある者は、 よくよく心しなければならない。 ▼心理学者の河合隼雄氏は 「権力を棄 (す) てることによって内的権威が磨かれる」 と説いた。 官兵衛も利家も、 高慢にふるまうという権力を棄てることで、 人がおのずと従う権威を得ようとしたのかもしれない。 (Y)