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切り抜き詳細
発行日時
2013-12-29 8:39
見出し
ふるさとに乾杯
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3730
記事詳細
丹波杜氏の造った酒を丹波焼の器に満たして乾杯し、 デカンショ節で宴席を盛り上げることを推奨する 「丹波篠山ふるさとに乾杯条例」 が、 1月1日から施行される。 日本酒での乾杯をすすめる条例は今、 全国の自治体に広がっているが、 地酒だけにとどめていない点がユニークだ。 ▼250年ほど前の宝暦年間にさかのぼるとされる丹波杜氏、 日本六古窯の一つに数えられる丹波焼、 全国に知られた民謡のデカンショ節。 いずれも丹波篠山の誇る文化、 風土であり、 過去からの贈り物である。 ▼石川啄木は、 猿と人とを対話させ、 猿にこう語らせている。 「ああ人間はあわれむべきかな。 汝らはすでに過去を忘れたり。 過去を忘れたるものには、 将来に対する信仰あることなし」。 過去の記憶を捨て去らずにいてこそ、 人間の明日が開かれる。 これは地域も同様だろう。 ▼地域にも過去の記憶がある。 しかし、 町並みが全国一律の風景と化すなど、 地域の風土が薄れている昨今、 地域固有の記憶が失せている。 三浦展 (あつし) 氏の言う 「風土の記憶喪失」 が進行している。 これでは地域の明日は開かれない。 ▼篠山の乾杯条例は、 風土の記憶を呼び起こす。 それは地域への誇りを生み、 地域の活力を生み出す機縁ともなろう。 条例がスタートする元日、 拙宅でも地酒で乾杯するか。(Y)