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切り抜き詳細
発行日時
2013-12-11 19:15
見出し
東北・福島ルポ ―下― その笑顔の裏で
リンクURL
http://tanba.jp/modules/features/index.php?page=article&storyid=870
記事詳細
心の穴、埋められるように 「東京電力の人間に、 俺言ったんだ。 地元住民の心には、 汚染水が漏れたところよりも深いヒビが入ったことをあんたらご存知かって」 太平洋に面した福島県浜通り南部に位置するいわき市。 福島原発が立地し、 避難を余儀なくされている双葉郡双葉町の人々が生活する南台仮設住宅の集会所で、 篠山市介護サービス事業者協議会メンバーらを前にした自治会長の齊藤宗一さん (64) が憤った。 齊藤さんの家から原発まで3キロ。 文字通り目の前だった。 事故2日前の3月9日から齊藤さんは手術のため、 町の病院に入院していた。 「医者に20年後の孫の姿が見たくないか」 と言われて決断した手術だった。 そして11日。 病室から見たどす黒い津波。 齊藤さんはすぐに 「原発もだめだ」 と思った。 避難命令が出され、 術後の体を引きずって逃げた。 親せきを頼って各地を転々とする中、 傷口が裂けて再度、 入院もした。 南台仮設住宅にたどり着くまでに8回も転居した。 東電との補償協議が始まる。 「はじめのうちはさ、 『何もかも買われた時の値段を支払わせていただく』 って言ってたのに、 ふたを開けたら全然違った」。 自慢のほうれん草をつくるために買った農機具は20分の1、 家は5分の1。 「本当に人を馬鹿にした話だよ」 原発までの距離が近か ったため、 以前から訓練には余念がなかった。 万が一に備えて、 避難道の整備なども訴えてきた。 しかし、 「事故なんて起こるはずがない」 と一蹴され続けてきた。 避難時に来ると言われた東電のバスは1台も来なかった。 齊藤さんが一時帰宅した際、 放射線測定器の数値が普段の数倍に跳ね上がった時期がある。 10日ほどたってから、 汚染水が漏れていたことが報道された。 東電や国への不信感は募る一方だ。 「でもさ、 村の中でも東電で働いてた人はたくさんいたから。 あんまり言えないんだよ」 最後の行程で双葉郡楢葉町の人々が生活している同市上高久の仮設住宅で歌声喫茶。 笑顔がはじける住民の中には障がいのある子どももいた。 いのちのうたは本来、 丹波地域を活動拠点とし、 障がいのある人たちの音楽活動などを支援する団体だ。 しかし、 震災で苦しんでいる障がい者たちを考えたとき、 代表の山中信彦さん (58) =篠山市北新町=の思いは東北に飛んだ。 がれきの撤去はできなくとも、 歌を通して、 一時でも笑顔を取り戻してほしいと考えた。 山中さんは言う。 「仮設では親せきなどを頼って一人、 また一人と地域の人がいなくなっている。 みんな気丈に振る舞っているけれど、 心に穴があいている。 その穴を少しでも埋められるようにこれからも東北へ行きたい」。 副代表の中川順子さん (57) =丹波市春日町黒井=は、 「支援なんておおげさなことではなく、 知り合った人たちに会いに行っている。 何もできないけれど、 この出会いをつないでいければ」。 同団体では来年3月9日に、 篠山市で語り部や市内で支援活動に取り組んでいる人の活動発表などの催しを企画している。 「丹波にいても、 できることがあることをたくさんの人に知ってほしい」 という思いからだ。 行程終了後、 いわき市で暮らす丹波市青垣町出身の新谷尚美さんが営む 「くさの根」 で打ち上げ。 過去7回の歌声喫茶支援すべてに参加している前川龍雄さん (篠山市今田町本荘) のアコーディオンの音色に乗せて歌う。 仮設で暮らす人々も、 メンバーらも、 その裏にさまざまな思いを抱えながらも、 少なくとも歌っている瞬間は、 心からの笑顔を浮かべていることに気付いた。(森田靖久)