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切り抜き詳細
発行日時
2013-12-5 8:57
見出し
きれいな海だった
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3705
記事詳細
丹波地域から出発したボランティアバスに乗り、 1日まで東北・福島の仮設住宅を訪れた。 そこに住んでいるのは、 東日本大震災、 そして、 福島原発事故による放射能汚染のため、 住みなれた土地を離れ、 いつ帰れるかもしれない人たちだった。 いくつか訪れた仮設住宅の中で、 私の記憶を呼び起こす名があった。 福島県双葉郡双葉町。 実家の京都府船井郡京丹波町と姉妹都市のまち。 小学生のころ、 町の交流事業で双葉町を訪れたことがある。 もう20年近く前のことだが、 現地の児童と遊んだこと、 海で泳いだことを思い出した。 その時、 双葉の大人の方がこう言っておられた。 「うちには原発があるんだよ。 東京の電気を支えているのはこのまちなんだ。 すごいだろう」 かつて福島原発は双葉にとって 「誇り」 だったのかもしれない。 信じていたものに裏切られた人々が、 どれほど複雑な思いを抱いているのか。 どんなに頭を振り回しても、 完全に同じ気持ちにはなれないことが悲しい。 あの時、 泳いだ海は本当にきれいな海だった。 それだけは確かだった。(森田靖久)