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切り抜き詳細
発行日時
2013-11-21 10:47
見出し
シカに思う
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3692
記事詳細
篠山から実家がある京丹波へ抜けるには、 どのルートを通っても峠を越えなければならない。 道中、 ほぼ確実に彼らと遭遇する。 驚くほどの巨体、 すらりと伸びた脚、 つぶらな瞳。 シカである。 一度の往復で目撃する頭数は平均5頭。 多くの場合、 田や山際の広場で集合している。 角がないメスばかりの時は、 婦人会かなぁなどと想像する。 狩猟が解禁されて追われる身になっているが、 そんなことはこれっぽっちも感じさせない堂々たる姿だ。 有害鳥獣といわれて久しい。 育てた作物を片っ端から食べて回るのだから、 人間としては有害と言うシカない。 一方で春日神社に代表されるように、 古来、 神聖な動物としても崇められてきた。 そんな展示物を集めた特別展が24日まで篠山市立歴史美術館で開かれているので、 興味がある方はぜひ。 神聖から有害まで。 時代によって180度違った視点で見られるシカたちは、 今、 どんな思いでいるのだろう。 ヘッドライトに照らされたシカは、 口をもぐもぐと動かして山へ消えていった。 遠くでギョーンと鳴く声がした。(森田靖久)