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切り抜き詳細
発行日時
2013-10-27 9:18
見出し
今年度の文化功労者に たんぱく質分子を観測 春日出身の柳田敏雄氏
リンクURL
http://tanba.jp/modules/news/index.php?page=article&storyid=1748
記事詳細
丹波市春日町柚津出身で、 大阪大学生命機能研究科特任教授の柳田敏雄氏 (67) =豊中市=が、 今年度の文化功労者に選ばれた。 生物物理学者の柳田氏は、 特殊なレーザー光を使ってたんぱく質分子を観測する技術を開発し、 観測に成功した。 生命科学の進展に大きく貢献したとされるその功績は、 世界的に高く評価されている。 写真・今年度の文化功労者に選ばれた柳田敏雄氏 (今年9月、 春日町の実家で) 柳田氏は進修小、 明徳中、 柏原高校を卒業。 大阪大学の基礎工学部電気工学科に入った。 民間企業で1年勤めたあと、 大学に戻り、 生物物理学の研究室に入った。 研究したのは筋肉の動き。 当時、 人の筋肉は機械の歯車のような仕組みで動くというのが定説だったが、 「人間の体の動きは、 コンピュータでも真似できない。 人の筋肉は、 人工的な仕組みとは違う」 という思いから、 たんぱく質分子の観測に挑んだ。 筋肉の収縮は、 アクチンとミオシンという2種類のたんぱく質分子が担う。 レール役のアクチン繊維の上を、 モーター役のミオシンが動くと力が発生し、 筋肉が動く。 当時の定説は、 アクチンの上をミオシンが歯車のようにカチカチと動くというものだった。 柳田氏は、 85年頃、 レーザーの顕微鏡を開発し、 太さが10億分の7メートルというアクチンの動きを観測することに成功。 アクチンは風になびく草のように揺れていた。 95年には、 アクチンよりも小さなミオシンを1個ずつ見ることにも成功した。 ミオシンは、 アクチンの上をきちっと動くのではなく、 前に行ったり、 後ろに行ったり、 ふらふらしながら平均的には前に行くという動きをしていた。 歯車のような動きではなく、 ゆらいでいた。 文化功労者の発表に 「欧米文化にはあまり見られないユニークな 『ゆらぎの概念』 で、 長年世界の研究者と論争してきたが、 このように評価していただき、 とてもうれしい」 と話している。 柳田氏はこれまでに日本学士院賞、 恩賜賞、 朝日賞を受けている。