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切り抜き詳細
発行日時
2013-10-13 8:40
見出し
神、人、自然
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3662
記事詳細
13世紀から18世紀にかけてヨーロッパでは、 「動物裁判」 なるものが行なわれた。 人や家畜を殺傷し、 畑や果樹園を荒らした豚、 犬、 牛などをはじめ、 小動物も裁かれた。 ▼農作物に被害を与えたネズミには退去命令が下され、 ブドウ園を荒らした毛虫には 「6日以内に畑から退去せよ」 との判決がおりた。 裁判だから弁護側もいれば、 検察側もいる。 弁護側が 「動物も人間と同様に神がつくったもの」 と論じると、 検察側は 「人は、 神からすべての生きものを支配する権利を与えられている」 と反論した (池上俊一氏 『動物裁判』)。 ▼西洋では、 自然界は人間のために存在するものであり、 神―人―自然という序列があった。 動物裁判の背景にある思想だ。 それに対して日本では、 神と人、 自然の3者に序列はなく、 融合していた。 ▼篠山市立歴史美術館で今、 特別展 「神と獣の棲むところ」 が開かれている。 猿や鹿、 猪などを描いた掛け軸などを展示し、 動物を神の使いとしてあがめた先人の考え方を紹介している。 ▼私の住む村には、 猪や鹿を捕えた者に 「ほうび」 を与えることを明記した江戸時代中期の古文書がある。 ほうびを与えるというのだから、 農作物を荒らす猪や鹿によほど業を煮やしたのだろう。 神格化する一方で、 害獣として現実的な対応もとる。 興味深い底の深さだ。(Y)