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切り抜き詳細
発行日時
2013-7-28 9:12
見出し
スーパー能 「世阿弥」
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3591
記事詳細
梅原猛先生の書き下ろしスーパー能 「世阿弥」 を観てきた。 これまで書かれた歌舞伎 「ヤマトタケル」 や 「オグリ」 「オオクニヌシ」、 狂言の 「ムツゴロウ」 など、 どれも現代語でわかりやすく、 しかも意表をつく演出で観客を楽しませる。 それがスーパーという言葉のつく所以だ。 「世阿弥」 は先生が長年あたためて来られたもので、 父と子の情愛、 政治と芸術という普遍的なものがテーマとなっている。 その昔、 「ヤマトタケル」 が猿之助 (現在の猿翁) 主演で初めて上演された頃は、 キワモノ扱いをされたり、 「あんなものは歌舞伎ではない」 などと酷評された。 しかし、 歌舞伎の語源は 「傾く (かぶく)」 で、 つまり、 「自由奔放に振る舞う」 など、 少し世の中の尺度とは違うことを意味している。 古典になるにつれ伝統や様式美のみに偏ってきた。 そこで、 梅原先生は時代に合った歌舞伎や能、 狂言を書かれた。 とはいえ、 先生も今年米寿、 何度も大病をされながら、 そのたびに生還。 生命力、 膨大な資料を読まれる意欲には感心させられる。 「世阿弥」 といえば観阿弥の息子で、 能の優れた古典 「井筒」 「実盛」 「鵺 (ぬえ)」 「西行桜」 「野守」 など等、 万葉集から伊勢物語、 平家物語などから題材をとった多くの謡曲を作った。 一時は足利義満の庇護のもと一世を風靡したが、 時の権力者が代わり、 逆境の中、 息子 「元雅」 を暗殺されてしまう。 世阿弥の無念さ、 しかし生き抜くことを息子の霊に誓う姿で舞台は閉じられた。 このプラス思考は先生の生き方そのもの。 大きな拍手を送った。