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切り抜き詳細
発行日時
2013-7-28 9:00
見出し
観測30年の記録「丹波氷上町の気象」発刊 荻野正裕さん
リンクURL
http://tanba.jp/modules/news/index.php?page=article&storyid=1659
記事詳細
丹波市氷上町香良の自宅で1975年から気象観測を続けている元中学校理科教師の荻野正裕さん (83) が、 観測データ集 「丹波氷上町の記録」 (B4判、 369ページ。 丹波新聞社印刷) を自費出版した。 1981年―2010年までの30年間の観測記録を綴ったもので、 荻野さんは、 「物言わぬ数字、 記号は読む人それぞれの考えにより、 無言のうちに多くのことを物語り訴えるだろう。 何かの役に立ててもらえれば」 と話している。 荻野さんが観測を始めた当時、 世界の観測基準時刻は、 ロンドンのグリニッジ天文台の午前零時 (日本時間午前9時) だった。 その時間、 中学校で教べんを執っているため、 3時間早め、 一日の最低気温が出やすい午前6時を自身の 「定時」 と定め、 観測を続けてきた。 野外センサーで室内にいても、 モニターとパソコンにつないでデータを自動処理できるようになったが、 最高気温は水銀温度計で、 最低気温はアルコール温度計で必ず目視確認する昔ながらの方法を続けている。 毎日の観測記録を月末に気象庁で決めている 「気象観測所月表」 にまとめ、 「月表」 を本にまとめた。 1ページにひと月分を割り当てている。 乾球温度、 湿球温度、 最高気温、 最低気温、 平均気温、 降水量、 気圧、 天気など、 18項目を観測。 毎月上旬、 中旬、 下旬、 月平均の数字をそれぞれ算出し、 記載している。 30年、 1万950日分の全データに入力ミスがないか、 データのチェックに4年以上費やし、 校正を重ねた。 「データの確認と校正が何より大変だった」 と苦笑いする。 30年間の月別平均気温、 月別降水量の一覧を掲載し、 比較検討した結果、 年ごとの変動が大きくなっていることに気づいた。 また、 その土地の気象をとらえる一つの方法として気温と降水量の関係を 「クリモグラフ」 というグラフに表わし、 豊岡、 神戸と比較。 丹波は、 「瀬戸内海側と日本海側の2面性を備えた、 準日本海式気候」 とされているが、 荻野さんの30年の観測結果のクリモグラフでも、 そのことが裏付けられたという。 「その土地の気候を論じるには、 30年間の継続観測が必要。 やっと、 その期間に適合するようになり、 本にまとめられて本当に良かった」 としみじみ話している。 荻野さんは、 同書を丹波市内6図書館などに寄贈。 図書館で資料を見ることができる。 (写真) 「丹波氷上町の気象」を刊行した荻野正裕さん =氷上町香良で