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切り抜き詳細
発行日時
2013-7-18 9:28
見出し
ヒメボタルまた来年
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3582
記事詳細
こどもの頃、 夜1人では怖くて照明のついていない自宅の2階にすら上がれなかったのに、 今や明かり1つない山奥にカメラと三脚を担いで撮影に通える大人になった。 とはいえ、 暗闇を怖れる気持ちには変わりがない。 ヒューンと甲高い鹿の鳴き声に、 肝が冷える。 自分が踏んだ枯れ枝が草を揺らすと 「クマが出た!!」 と身の毛がよだつ。 首筋に落ちる雨水に心臓が止まりそうになる。 それでもこの時期にしか見られないので出かけて行く。 ゆっくり明滅するゲンジボタルの光跡は糸を引くように、 カメラのストロボをたき続けているようなヒメボタルの光跡は、 点線状に写る。 周囲の景色がぼんやり写るぐらいの 「明るさ」 が撮影には好都合。 一番いい時間は20分くらいしかない。 一方、 観賞は暗ければ暗いほどいい。 漆黒の闇の中、 あちこちで明滅する様は、 冴えた冬の夜空にまたたく星にも増して美しく幻想的だ。 見とれていると迫ってくるヤマビルさえいなければ最高だ。 今年のシーズンも終わる。 また来年も、 素晴らしい光景を楽しめますように。(足立智和)