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切り抜き詳細

発行日時
2013-5-9 14:26
見出し
東北へ行こう―東日本大震災被災観光地の今― 気仙沼市・上
リンクURL
http://tanba.jp/modules/features/index.php?page=article&storyid=854 東北へ行こう―東日本大震災被災観光地の今― 気仙沼市・上への外部リンク
記事詳細
支援者招き絆強まる 写真・上屋はほとんど建たずだだっ広い空間が広がる沿岸地区。 打ち上げられた船がそのまま残る    震災直後の一昨年4月以来、 2年ぶりに宮城県気仙沼へ。 水産加工業 「斉吉商店」 を訪れた。 同社は被災した他の会社と共に 「応援ファンド」 を立ち上げて出資を募り、 その資金をもとに復興にこぎつけた。 新工場2階に設けた食堂 「ばっぱ (お婆ちゃん) の台所」 で 「感謝の集い」 が開かれ、 投資した人たち30人余りが仙台、 東京、 名古屋などから集まった。  同社は魚港地区にあった本店や工場をすべて津波で流され、 別の場所で浸水だけですんだ倉庫のみ残った。 内陸部の他社工場を借りての仮操業などを経て、 ようやく昨秋、 倉庫敷地にプレハブ工場兼店舗が完成。 サンマに秘伝のタレを付けて煮た目玉商品 「金のさんま」 や、 海鮮丼どんぶりのレトルト食品の生産・販売体制が整った。  設備も含めた事業費は約7000万円。 うち1000万円が全国から400人がインターネットで応募したファンドの資金。 補助金や公的融資も利用したが、 「初期投資をファンドからすばやく調達できたのが、 本当にありがたかった」 と斉藤純夫社長。 妻の和枝専務に筆者が2年前取材した時、 「きっと再建し、 記念イベントを開いて応援して下さった方々をお招きしたい」 と話していたのがこの日、 目標通り実現。 ウニやアワビ、 イクラをたっぷり載せた海鮮丼を社長自ら作って、 参加者にふるまった。  集いでは約20人の従業員全員が自己紹介し、 震災時にさんまのタレが冷蔵車ごと流されていくのを懸命に追いかけて死守した話を披露する人も。 参加者から 「海外旅行する予定だったお金を、 しばらく我慢してこちらに回した」 「毎年収入のいくらかの割合を被災地への応援に充てたい」 などの感想が話され、 絆は一段と強まったようだった。  元々、 漁港の廻船問屋だった斉吉商店は、 震災のだいぶ前から水産食品部門に参入。 さらに、 大手飲食店チェーン向け食材卸から、 小売り中心への転換を目指していたさ中に被災した。 事業再建に伴って廻船問屋部門を分離。  また食材卸を減らし、 ネットや百貨店の販売網を使った小売りのウェイトを8割まで高めた。 多様だった製品アイテムが縮小され、 製造設備もシンプルに。 以前から目指していた方向通りに効率化が図れることになった。  震災の年に一旦は他の会社に就職した長男や、 別の道を行く予定だった今春大学卒業の次男も、 共に戻ってきてくれ、 一家を挙げての再建が軌道に乗りつつある。  観光客がひっきりなしに訪れる新店舗内に表張りのはがれかけた木製の 「吉」 の文字がガラスケースに収まって飾ってある。 壊滅した本店にあった社名看板のうち、 これのみが瓦礫の中から見つけ出された。 災いが、 まさに福に転じたことを象徴しているようだ。 「まだまだ困難を抱える人が多い中で、 斉吉商店が復興の先駆けになってほしい」 と、 スピーチした。(小田晋作)