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切り抜き詳細
発行日時
2013-4-29 9:29
見出し
「山笑う」
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3509
記事詳細
草木が一斉に芽を吹いたこの頃の山には、 みずみずしい美しさがある。 そんな山を表現して、 「山笑う」 という。 冬の厳しさから解放され、 明るく彩られた山を、 昔の人達は 「山が笑っている」 と見た。 山がケタケタと笑うはずはないのだが、 日ごろから山に親しんでいた昔の人は、 声こそ出さなくても、 山も笑うに違いないと見たのだろう。 ▼仏教には 「無情説法」 という言葉がある。 人間のような意思や感情を持たないと思われる山や草、 木、 石も説法をするという意味だ。 もちろん山が説法をするわけがない。 しかし、 私たちの心が鋭敏に研ぎ澄まされると、 山からも生き方のメッセージが届くと考えた。 ▼ 「山笑ふ心し渡る丸木橋」。 本紙に 「没登句画抄」 を連載している植村八郎さんの句だ。 画家として創作に励む一方、 山を愛し、 ふるさとの山に登り続けている植村さん。 「作句を意識しながら登ると、 さまざまな発見があり、 より楽しめる」 と話している。 ▼植村さんは 「ただ体を使って登るのではなく、 五感を使って登る」 ことを勧めてもいる。 作句を通して五感を高め、 感性がより鋭敏になると、 山との言葉なき対話も深まるに違いない。 ▼ゴールデンウイークが始まった。 インドア派の当方。 山登りは敬遠するが、 新緑の美しい山を眺めて心通わせ、 心を浄化したい。(Y)