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切り抜き詳細

発行日時
2013-4-29 9:28
見出し
遅桜
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3508 遅桜への外部リンク
記事詳細
 花粉症を避けて、 三月半ば過ぎから海外へ行っていた夫が、 一カ月ぶりに帰国した。 出発前、 「今年の桜は見られないだろうな」 とやや残念そうだった。 桜前線の速さは異常で、 夫が出発した後、 お彼岸の少し前から咲きはじめた。 いつもは爛漫の桜のなかで行われる四月はじめの春祭りも、 葉桜という有様だった。  我が家には桜の木が四本ある。 一本は普通の染井吉野で、 夫の両親がこの土地を購入した時、 記念に植えたものだ。 雑木林に囲まれた高台なので、 やや遅いが普通に咲く。 家の北側に山桜が一本、 これはいつの間に生えたかというもので、 随分大きくなり、 その十日ほど後に咲く。 さらに西側に二本、 このうちの一本も山桜で西側にあるせいか、 一週間ほど遅く咲き始める。 さらに最後に咲くのが、 三十年ほど前、 義母が郡上八幡へ旅したときに 「薄墨桜の名札がついた木の近くに、 ひこばえの苗が出ていたから、 貰ってきた」 というもの。 十年ほど前、 ようやく背丈ほどになり、 さらに五年後、 義母が外に出られなくなった頃から、 ちらほらと花を付け始めた。 西日しか当らないので痩せているが、 出窓から見えるので義母も歓んで見ていた。  その桜が、 四月を過ぎてからの寒さで、 なかなか開かない。 この分だと、 夫の帰国に間に合うかもしれない。 「なるべく遅く咲いてね」 と念じつつ毎日眺めた。 満開になったのは帰国の前日。 やや小ぶりの淡い色の花がたくさん咲いた。 携帯で写して 「息子に今年の桜を見せてやろうというおばあちゃんの愛だね」 と子どもたちにもメールで知らせた。