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切り抜き詳細
発行日時
2013-4-25 14:22
見出し
「心のふるさと」に触れる
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3505
記事詳細
5月も近いというのに、「寒いですね」 という言葉が出るほど。「寒さひもじさのしろ時」 という言葉がある。 田植え前は、 寒い時期があり、 夜明けも早い。 朝早くから夜遅くまで、 田んぼ仕事が長くなり、 お腹も減る。 自然とともに生きた人々の暮らしを感じる。 そんな時期に伊勢路に出かけた。 五十鈴川にかかる宇治橋を渡ると、 40数年前の小学校の修学旅行の思い出がよみがえる。 今年は、 伊勢神宮の20年に一度の式年遷宮の年。 社殿、 神宝を一新し、 ご神体を本殿に移すため、 8年がかりで準備が進められ、 10月に新しい社に移る。 伊勢神宮は、 「日本人の心のふるさと」 とされる。 伊勢講というお講が丹波地域の村々に残る。 車や電車のない時代、 徒歩で伊勢参りをするために、 お金を積み立てた。 五穀豊穣などを祈るために、 講のメンバーである講中が交代に代参したという。 伊勢参りは、 娯楽の乏しい時代に、 観光旅行的なものでもあった。 講を通じて横のつながりも深まった。 1500年前に、 天照大神の食事を司る豊受大神が丹波国から迎えられ、 創建されたのが伊勢神宮の外宮という。 丹波国は、 当時は兵庫、 京都にまたがる広範囲。 福知山市大江町の元伊勢神社でも、 豊受大神をまつっており、 伊勢と丹波との関係がうかがえる。 豊かな時代とされるが、 内面に様々な心配事をかかえる人も多い。 巨木が林立する伊勢神宮の森を歩くと、 心にからまった糸をほぐされたようで、 清新な気持ちになった。 日本人の心を育んできた慈しみの心、 わびさびの伝統文化、 自然への畏敬 (いけい) の念といったことをもう一度見直したい。 「春深し森に癒され神宮めぐる」。(臼井 学)