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切り抜き詳細
発行日時
2013-4-14 9:11
見出し
つつましく振る舞う
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3495
記事詳細
日本では、 赤ん坊と老人とに最大の自由とわがままが許されており、 幼児期を過ぎると共に拘束が増してゆく。 そんな指摘をした本 『菊と刀』 が出たのは、 約70年前。 さて現代。 老人はさておき、 赤ん坊や幼児期の自由やわがままは今も許容されているか。 されているなら、 どこまでか。 ▼柏原高校の入学式で、 来賓あいさつをした谷水同窓会長が、 新入生の保護者に 「今日から高校生。 もう小学生や中学生ではない。 雨の日に校門まで車で子どもを送るのは甘やかしだ」 と呼びかけた。 雨の日、 高校生のわが子を車で送る。 自由とわがままの許容が、 幼児期を通り越して、 引き延ばされている一端と言えなくもない。 ▼谷水会長は 「送るにしても、 柏原駅か南多田の交差点にまでしましょうよ」 とも付け加えた。 学校近くで車から降りて歩く高校生。 それなら、 まだしも、 つつましい。 ▼ 『菊と刀』 を著した米国の文化人類学者、 ベネディクトは、 日本を 「恥の文化」 の国と見た。 世間に対して恥ずかしくない行動をとる。 それが日本人の規準になっているとした。 恥の文化から生まれた行動の美学の一つが、 つつましく振る舞うこと。 無遠慮には、 はしたなさがつきまとう。 ▼谷水会長と同様、 車で送るのは、 せめて学校の近くにしたいものだと思う。 校門までは、 つつましさに欠ける。(Y)