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切り抜き詳細
発行日時
2013-4-11 9:41
見出し
君たちのいない朝
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3489
記事詳細
とうとう娘たち二人が我が家からいなくなった。 2年前に長女が、 そして今年、 次女が、 大学に通うため家から出て行った。 一番、 不在を感じる時は、 朝である。 毎朝いろんな音や声がしていた。 「おはよ~」 から始まって、 朝ごはんを食べる音、 洗面を使う音、 「今日のうお座なんだった?」 「おとめ座、 今日一番!」 「ママ、 駅まで送ってくれる?」 「何時に?」 「今日の帰りは何時頃になるの?晩御飯は?」。 そんなこんなしているうちに、 主人を起こす時間になった。 慌ただしい朝、 いつでも子どもたちが周りにいた20年だった。 今から思えば、 なんてことのない会話だが、 一日を始めるための大切なひと時だった。 娘たちがいなくなった、 最初の朝、 自分のたてる音しかしなくて、 あまりの寂莫感にショックを受けていた。 娘たちの存在の大きさと、 これまでの20年の歳月の重さを実感していた。 主人とは、 常々 「子どもたちを早く出して自分たちの時間を持とう」 と話していた。 子どもたちにも、 「大学に入ったら、 家から出なさいね」 と話していた。 2年前に家を離れた長女は、 帰ってくるたびに良く気のつく娘になっていた。 やはり、 出して正解だったと考えていた。 その時は、 まだ次女がいたので一抹の寂しさを感じてはいたが、 すぐに元の生活に戻ることができた。 「子どもは天からの預かりもの」。 自分のものではないことを、 今、 日々、 実感している。 私たちは、 預かりものを立派にお返しできただろうか。 (土性里花・グループPEN代表)