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切り抜き詳細

発行日時
2013-3-31 8:36
見出し
ふるさと
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3482 ふるさとへの外部リンク
記事詳細
 大路村生まれの詩人、 深尾須磨子についての講演を聞きに行き、 「山帰来」 という詩を知った (本紙6面)。 「別れて久しい私の村は 過疎地帯みたいにひっそりしていた」 で始まる。 そんなふるさとで、 須磨子は小学校時代の同級生に出会う。 ▼ 「仙ちゃん」 といい、 「すっきりしたカッコいい男の子だった」。 ほかの男の子たちが須磨子をからかうと、 仙ちゃんはいつも須磨子に味方した。 そんな仙ちゃんが須磨子は大好きだった。 しかし、 半世紀以上の歳月を経て再会した仙ちゃんは、 須磨子のことを覚えている様子がなかった。 ▼それどころか、 その腰は大きく曲がり、 人間離れしたような 「くの字型」。 声も言葉つきも年寄りじみていた。 仙ちゃんと別れるとき、 夕日が二人を照らした。 「山の夕日が 仙ちゃんと私の影を くっきり二つに分けた」 ▼仙ちゃんと須磨子。 それぞれの道を歩んできた二人の間には溝ができ、 再び交差することはなかった。 影がくっきりと分かれたように、 仲の良かった二人は 「孤」 として分離した。 ▼ふるさとには、 「後家に人気のあった和尚さん」 も 「流れ者のおいわさん」 もすでになかったが、「くすの大木が昔のとおり風をうけ流していた」。歳月の流れに人は逆らえない。しかし、「山あれば川がある」 ふるさとの自然は泰然として揺るがない。 (Y)