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切り抜き詳細
発行日時
2013-3-28 11:45
見出し
桜と甘い自分
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3477
記事詳細
立春をとうに過ぎたのに、 暖かくなったり、 寒くなったりの日々が続く。 三寒四温とはいうものの、 その差がかなり激しい。 それは暖かい日よりも寒い日に強く思う。 どちらかというと寒さに弱い私の寝床には、 いまだ電気毛布が敷かれている。 そこでさなぎのように包まっていると、 いつまでも冬が終わらないような気がしていた。 まだ少し暖かい日、 ふと思い出してベランダに出る。 そこは昨年から始めた盆栽の棚が占拠している。 始めたといっても冬場はかなりさぼった。 水をやることも適当だったし、 草むしりもおそろかにした。 なぜその日、 ベランダに出たかと言うと、 棚の中に一本、 桜があることを思い出したからだ。 春を告げる桜。 それを放って置いた私。 スローモーションで恐る恐る横目で桜を盗み見て、 小さく声が出た。 少しだけ膨らんだ芽からピンク色がのぞいている。 もうすぐ花が出そうだ。 手を入れずとも確かに生きる桜の力に感動した。 同時に、 放って置いても咲くやんと思った甘い甘い自分を戒めた。 その甘さは人生にも危険なもの。 そんなことを思った春の日だった。(森田靖久)