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切り抜き詳細
発行日時
2013-3-14 9:08
見出し
大島渚・映画監督
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3465
記事詳細
亡くなった大島渚・映画監督に、 筆者はいささか恩義を感じている。 大学4年の時受けた新聞社の入社試験で、 「指導者」 という作文の題が出た。 何を書くかと思案するうち、 少し前に 「日本の夜と霧」 という映画を観たのを思い出した。 安保闘争の活動家達を描いた作品だ。 ▼高揚感からやがて挫折した元同志たちはばらばらになってしまう。 全学連のリーダーだった大島の想いを込めた作品に違いないが、 客の入りは悪く、 公開数日で上映中止になった。 映画マニアだった筆者はその5年後に何かの上映会で観たと思う。 ▼こじつけみたいに書いた 「指導者」 の作文は全く自信がなく、 「筆記合格」 の電報が来た時は驚いた。 切り口だけは異色だったのだろう。 面接でも試験官から 「君は松竹に行ったら?」 と冷やかされるほど映画の話をしたようだ。 ▼先日、 丹波市の 「ありがとうメッセージ」 表彰式のイベントで来られた大島夫人の小山明子さんに50年近く前のこの話をし、 「 『夜と霧』 を観ていなかったら、 入社試験には通らず、 私の人生も違っていたことでしょう」 と礼を言ったら、 「あの映画は出演した私にもさっぱりわからなかったの」 と苦笑され、 大島さん自筆の墓碑銘のメッセージを下さった。 ▼ 「深海に生きる魚族のように自ら燃えなければ何処にも光はない」 と書いてあった。(E)