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切り抜き詳細
発行日時
2012-12-16 9:05
見出し
犬の記憶
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3386
記事詳細
いつも通る国道沿いに、 一匹の犬がいる。 小屋に三メートルほどの針金がつないであり、 その間は動けるようにしてある。 飼い主の家は事務所で、 あまり人気はないが、 餌だけは与えているようす。 スピッツの雑種らしいのだが、 あまりに汚れていて、 元が何色だかわからない。 十五年以上、 もしかしたらそれ以上見ているので、 かなり高齢かもしれない。 十年ほど前のある夕方、 学校帰りの男子中学生が、 この犬に何かを与えているのを見た。 飛びついて喜ぶ様子に 「良かった、 可愛がってくれる人がいて」 と嬉しくなった。 こちらも毎日同じ時間に通るわけではないので、 どのくらいの間、 犬と中学生との交流があったかは定かではない。 でも何度か、 犬の嬉しそうにしている姿を見た。 しかし、 ここ数年、 それも見なくなった。 その中学生も高校生になり、 もしかしたら、 この地を離れたかもしれない。 今も、 昼間はたいてい小屋に潜んでいるのだが、 夕方になると、 三メートルほどの針金の間を行きつ戻りつしている。 私にはあの中学生を待っているように見えて、 そのたびに胸が痛む。 かといって、 代わりに可愛がってやることはできない。 かなり無責任な傍観者なのだが、 犬という生きものの、 一度でも可愛がってもらった人への、 深い想いを感じて切なくなる。 元々、 私はどちらかと言うと猫派で、 猫の自由気ままな性格と行動が好きだ。 犬の飼い主に対する従順な姿は、 嬉しいけれど、 少しもの哀しい。 この犬にとって、 中学生との交流は、 生涯の最も幸福な記憶なのに違いない。