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切り抜き詳細
発行日時
2012-9-30 9:03
見出し
鈴の鳴る道
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3314
記事詳細
東日本大震災で被災した石巻市の小学生たちに元気を届けたいと、 篠山市の松田千栄子さんが370個もの 「手まりストラップ」 を手作りした (9月23日付篠山市版)。 手まりには鈴をつけており、 「鈴がチリンと鳴るたびに、 『遠くからでも応援しているよ』 という気持ちが伝われば」 という。 ▼この記事を読み、 星野富広さんの随筆 「鈴の鳴る道」 を思い出した。 元中学校教諭の星野さんは、 クラブ活動の指導中に首をけがし、 手足の自由を失った。 電動車いすで移動する星野さんにとって、 道のでこぼこは難敵だった。 しかし、 人からもらった鈴を車いすにつけたとき、 でこぼこが楽しいものになった。 ▼でこぼこを通ると、 車いすの鈴がチリンとなる。 その音に心が和んだ。 星野さんは思った。 「人も皆、 この鈴のようなものを心の中に授かっているのではないか」。 その鈴は、 平らな道を歩いていたのでは鳴らない。 でも、 でこぼこだと、 揺れて美しく響く。 ▼震災を体験した子どもたち。 その目の前に広がる道に、 震災は数多くのでこぼこをもたらしたかもしれない。 しかし、 どうか心の鈴の音色の美しさに気づける人になってほしいと願う。 ▼ 「私の行く先にある道のでこぼこを、 なるべく迂回せずに進もうと思う」 (星野さん)。 そんな勇気が子どもたちに伝わればとも思う。(Y)