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切り抜き詳細

発行日時
2012-9-16 9:00
見出し
真っ白なツバメ
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3298 真っ白なツバメへの外部リンク
記事詳細
 宮沢賢治の童話 『林の底』 は、 「鳥がはじめて、 天から降って来たときは、 どいつもこいつも、 みな一様に白でした」 と語るフクロウの話から始まる。 ▼鳥たちはもともと全身真っ白だった。 しかし、 それでは姿形が似た鳥は、 区別がつきづらい。 そこでトンビが染物屋を始めた。 鳥たちの注文に応じ、 鳥の体を染めていくという話だ。 ▼この童話を、 河合雅雄氏はこんな風に読み解く (『宮沢賢治の心を読むⅡ』)。 鳥たちみんなが真っ白だったときは、 鳥たちの悩みや望みは同じだった。 でも、 それぞれに違った色になると、 自分の衣裳を自慢したり、 ほかの鳥をけなしたり、 うらやんだりと、 「いろんなよくない心が育つ可能性」 が生まれた。 ▼フクロウが染物屋をしたという昔話もある (柳田国男 『日本の昔話』)。 カラスからの 「私の衣裳をまたとないような色に染めてくれ」 という注文に、 真っ黒に染めた。 カラスはたいそう立腹し、 フクロウをいじめるようになったという話。 しかし、 カラスが黒くなったのも、 もとはと言えば、 他の鳥より抜きん出たいという欲が災いした。 ▼春日町で羽が真っ白なツバメが見つかり、 話題になっているという (本紙丹波市版9月6日付)。 このツバメは、 鳥よりも欲が強く、 良くない心にまみれた人間の世界に何かを伝えに来たのだろうか。(Y)