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切り抜き詳細
発行日時
2012-8-26 9:02
見出し
自然離れ
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3279
記事詳細
篠山市出身の北村昌美・山形大学名誉教授が亡くなられた。 北村氏の専門は森林文化論。 兵庫丹波の森協会主催の 「丹波の森大学」 でしばしば講義をされ、 学ぶことが多かった。 ▼明治時代になって、 西洋から自然科学が入ってきて日本人の自然離れが起きたという。 その傾向は特に戦後、 顕著となり、 自然は 「現実の自然」 と 「観念の自然」 の二つに分かれた。 観念の自然は、 頭の中だけの自然で、 現実の自然はマムシにかまれ、 ハチに刺されもするありのままの自然をいう。 ▼観念の自然のみが発達し、 現実の自然を直視しないため、 「自然を大事にしよう」 という掛け声は高まるものの、 現実問題として自然破壊が進んだ。 現実に自然と接触し、 自然を育てている農林業者への理解は低く、 山が荒れた。 ▼林業の現状と将来を憂えられた北村氏は、 国家としての経済的支援の必要性を訴え、 そのためには日本人の旧来の自然観を取り戻すことだと言われた。 自然との一体感を持ち、 自然を自分と同等のものと見て、 共存の道を歩んできた自然観だ。 ▼こうした自然観は今も私たちの意識の下部層にあり、 それを掘り起こせば、 森林に対する理解が深まり、 林業問題の解決が探れると、 北村氏は期待された。 氏の逝去を悼むと共に、 氏の遺志を無にしてはならないと思う。(Y)