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切り抜き詳細
発行日時
2012-8-19 9:02
見出し
デカンショ
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3271
記事詳細
「丹波篠山 山家の猿が花のお江戸で芝居する」。 ご存知、 デカンショ節の歌詞だ。 芝居をするというのだから、 見栄も切るだろう。 花のお江戸にひるむまいと、 背伸びをし、 虚勢を張る。 しかし、 本性は、 山野の中でのびのび育った 「山家の猿」。 都会の虚飾とは正反対の純朴さ、 実直さが山家の猿の真骨頂だ。 ▼篠山出身の歌人、 小畑庸子さんに、 「まとひたるものがばと解き湯に浸る丹波ささやま夜の底にて」 という歌がある。 古里の湯に浸り、 自分をおおっているものを振りほどき、 素の自分に戻る。 その心地よい開放感。 素の自分とは、 てらいや世のわずらわしさとは無縁の山家の猿かもしれない。 ▼篠山の夜の底で、 デカンショ踊りが繰り広げられた。 老若男女が、 やぐらを囲んでデカンショを踊った。 山家の猿の素直で、 原初的なエネルギーが爆発した。 ▼デカンショを研究した南松雄さんはこう書いている。 「デカンショとはデカンショ節とかデカンショ祭りとか、 それだけの狭い意味ではない。 …丹波篠山に住む人達のなまの生きた連綿として流れる生活の営み、 文化そのものを表現している」 (『郷友』 374号)。 ▼デカンショとは、 丹波篠山もしくは山家の猿を丸ごと表わしたものなのだ。 祭りは今年で60回だったが、 数字には置き換えられない深さがある。 (Y)