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切り抜き詳細
発行日時
2012-8-19 9:01
見出し
にぎやかな詠歌
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3269
記事詳細
お盆―。 仏壇には季節の野菜や果物、 菓子などの供物と共に、 ナスやキュウリで作った牛や馬が飾られ、 いつもとは違ってにぎやか。 夜には 「チン…、 チン…」と、どこからともなく聞こえてくる詠歌の鉦 (かね) の音。 あちらこちらの軒先に 「迎え火」 が灯り、 里はこの時期特有の雰囲気に包まれる。 「お盆にはご先祖様の霊が帰ってくる」 と、 いつもは全く意識することのない 「あの世」 の存在を感じられるこの季節が私は好きだ。 我が家も夜には、 家族そろって詠歌をあげる。 今年は小学1年生の娘も仏壇の前にちょこんと座って参加。 すべてうたい上げるのに30分以上はかかるが、 もぞもぞしながらも最後までその場に座り続け、 詠歌をあげてくれた。 詠歌特有の微妙な節回しや、 「御詠歌帳」 に書かれた平仮名表記の歌詞を懸命に目で追うもついていけず、 「あー」 「うー」 といった雰囲気だけの詠歌であったが、 家族の笑い声が仏間に響くにぎやかなひとときとなった。 笑いながら、 仏壇の脇に飾られている私の祖父母の遺影にふと目をやる。 心なしか、 その表情がやさしく見えた。 そんな気がした。 (太治庄三)