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切り抜き詳細
発行日時
2012-8-19 8:59
見出し
片山桃史遺品展
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3270
記事詳細
八月は、 六日の広島忌、 九日の長崎忌、 そして十五日の敗戦忌。 さらに死者を悼むお盆の行事が続くので、 鎮魂と平和を祈る月ともいえる。 二日付の本紙に、 黒井の上ゲ町自治会が文化祭の一環として 「片山桃史遺品展」 を開催したことが載った。 彼の写真、 出征旗や父親に宛てたはがきや手紙、 句集 「北方兵団」 などが展示されたという。 私が桃史の名を知ったのは、 俳人、 宇田喜代子さんの書かれた 「ひとたばの手紙から―戦火をみつめた俳人たち」 がきっかけだ。 さらに八年前、 宇多氏が 「丹波学講座」 の第一回目に取り上げられたのが、 片山桃史だった。 拙書 「極楽の余り風第二集」 にも、 二度ほど取り上げさせてもらった。 天保山と前書きのある一句 「天地灼けぬ兵士乗船する靴音」 から、 桃史の戦争俳句は始まる。 朝鮮の京城へ渡り、 天津経由で北支の戦場に赴く。 「兵疲れ夢を灯しつつ歩む」 や 「南京陥つ輜重 (シチョウ) 黙々と雨に濡れ」 などには、 まだ余裕が感じられる。 しかし、 「ひと死にて慰問袋の独楽まひ澄む」 や、 「冷雨なり目つむり歩く兵多し」 「戦病死せるを葬るや風吹く日」 になると、 戦況がひっ迫してくる。 十二年前、 黒井の称名 (しょうみょう) 寺の参道に、 桃史の 「兵隊の町に雪ふり手紙くる」 の句碑が建てられた。 今年の六月に俳句の仲間と黒井城へ吟行した帰りに立ち寄った。 丹波に住む句友たちも 「桃史のことは全く知らなかった」 と驚いていた。 地元の方々によって、 生誕百年の遺品展示をされたことを、 同じ俳句を学ぶ者として何よりうれしく思った。