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切り抜き詳細
発行日時
2012-7-30 10:56
見出し
がんばろう
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3254
記事詳細
「前畑がんばれ」。 この有名なアナウンスで知られる水泳選手、 前畑秀子は、 1936年に開かれたベルリン五輪の200メートル平泳ぎの金メダリストだ。 ▼前畑は、 4年前のロサンゼルス大会で銀メダルに輝いた。 0・1秒差で金を逃したのだが、 日本記録を一気に6秒も縮め、 前畑自身は十分満足していた。 ところが、 祝賀会の席上で東京市長が目に涙を浮かべ、 「たった10分の1秒差で負けた。 私は悔しくて仕方ない」 と話しかけてきた。 ▼この言葉がそもそものきっかけになり、 ベルリンをめざした前畑は猛練習に明け暮れた。 そして今度は、 2位に0・6秒差をつけ金メダルに輝いた。 五輪新記録のタイムだった。 ▼ロンドン五輪が始まった。 過酷な練習に耐え、 鍛え抜いた体力と技、 精神力を持った選手たちが火花を散らす。 その姿はまぶしく、 美しく見える。 より速く、 より高度にと、 自分の限界に挑戦し、 乗り越えた者が持つ磁力は、 見る者を引き寄せ、 感動を与えてくれる。 自分もがんばらなければ、 と勇気づけてくれる。 ▼ 「前畑がんばれ」。 この言葉が今も語り伝えられているのは、 選手たちのがんばりを見て、 自分を奮起させる心情が働いているせいかもしれない。 選手を応援しながら、 自分にもエールを送っているのだろう。「がんばろう」と。 心も熱くなる夏だ。 (Y)