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切り抜き詳細
発行日時
2012-7-8 8:50
見出し
人としての品性
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3234
記事詳細
本紙6面掲載の講演録で、 兵庫県立大学の岡本久之教授が 「今の日本経済に必要なのは、 昭和恐慌から日本を脱出させた高橋是清蔵相のような政策だ」 と語っている。 積極財政を推進した高橋だが、 女性に関しても積極的だった。 ▼文芸評論家、 福田和也氏の 『人間の器量』 によると、 「平気で妻と妾を同居させ、 それでも足らず芸者を買っていた」 とある。 しかし、 「この老爺が大蔵大臣をしているかぎり、 景気は悪くならない、 物が売れるし、 給料は上がると市井の人は知っていた」。 ▼ 「財政のパイオニア」 と言われた蔵相、 松方正義も高橋に負けていなかった。 生涯に57人の子どもをもうけたといわれる松方は、 明治天皇に 「子どもは幾人いるのか」 と聞かれた際、 即座に答えられず 「のちに調べてから申し上げます」 と応じた。 ▼政治家は能力があればよく、 清廉潔白である必要はないと言っているのではない。 人としての品性は当然、 求められる。 秦野章法務大臣の言葉 「政治家に古典道徳の正直や清潔さなどを求めるのは、 八百屋で魚をくれというのに等しい」 は、 ふてぶてしい開き直りだと思う。 ▼ただ福田氏が嘆いたように、 「通り一遍の物差しでは測りがたいスケールを持った器量人」 が少なくなったことは確かだ。 現今の政治を見ていて、 つくづくそう思う。 (Y)