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切り抜き詳細

発行日時
2012-6-17 8:58
見出し
父に対する孝
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=3215 父に対する孝への外部リンク
記事詳細
 きょう17日は 「父の日」 ―。 高潔な人格と卓抜した見識から 「丹波聖人」 と言われた柏原藩の儒者、 小島省斎は幼くして父親を亡くした。 父親の記憶はなかったに違いない。 そんな省斎だが、 晩年、 メガネを持ち歩くとき、 小さな松が描かれた袱紗 (ふくさ) にメガネを包んでいた。 この松は父親が描いたものだった。 父に対する孝の念が読み取れる逸話だ。 ▼父親を失い、 貧苦の中で育ちながら学問を究め、 柏原藩の藩主に講義までするようになった省斎。 そんな自分の姿を父親に見せたくてもかなわない。 藩主に講義をする名誉を父親と共にしたい。 そんな思いから、 父親の思い出が残る袱紗を愛用した。 ▼省斎は、 藩政改革について藩主に進言もした。 その中で、 実現した一つが、 人材育成を図るための藩校 「崇廣館」 の開校だ。 現在の崇広小学校の校名は、 崇廣館に由来する。 ▼崇廣館には、 生徒らの守るべき規則を定めた 「学規」 があった。 姿勢を正し、 品性よくふるまうことなどを求めたほか、 「家に帰ると、 両親にうやうやしくお辞儀をしなさい」 と命じた。 親孝行が重んじられた時代を感じさせる規則だ。 ▼この規則を今の時代に取り戻すべきと唱えるのは、 いささか時代錯誤だろう。 ただ、 こうした風土がかつてあったことは心にとめておいていい。(Y)