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切り抜き詳細

発行日時
2017-8-3 9:15
見出し
11.きゅうり遠慮する風習
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=5077 11.きゅうり遠慮する風習への外部リンク
記事詳細
 『暑いなぁ。もう8月になるんや』と思う頃、「もうすぐ祇園さんやさかい、きゅうり遠慮してや」とおばあちゃんに言い渡されます。  祇園さんというのは、8月4日、5日(今は8月第一土日です)篠山の波々伯部神社の祭礼の日です。祭礼の日は立派な山車が各地区から8台出て、丹波の祇園祭といわれるのが頷けます。3年ごとに胡瓜山という舞台でデコノボウという素朴な人形戯(人形を操る芸能)が奉納されます。  波々伯部神社は、京都の八坂神社から、社領の鎮守神としてお祭りされた丹波では大きな神社です。牛頭天王ともいわれる素盞鳴尊がお祭りされていて、災難・疫病除けの神さまとして信仰されています。お参りして、蘇民将来のお話に由来した、「蘇民将来之子孫也」と書かれたおひねり(笹守り)をいただいてきて玄関に吊るします。  そのお話というのは、武塔神という神さまが旅の途中、一夜の宿を求められ、裕福な弟 巨旦将来はそれを拒みましたが、貧しい兄の蘇民将来は歓待しました。武塔神は自分は素盞鳴尊であると名乗られ、この歓待に報いるため、蘇民将来の子孫を末代まで守ってやろうと約束されたそうです。  また、ちょっと珍しい魔よけのお札があります。「よろず厄封じたい」という願いから〈藤と鯛〉を描いたもので、玄関口にかかげます。  話が逸れてしまいましたが、きゅうりの切り口が、祇園さんの神紋である木瓜に似ていることから、祇園さんの間は、きゅうりを遠慮するという習慣があったようです。篠山だけでなく、もちろん京都でも、その他各地でそういう習慣があるそうです。別に、きゅうりを収穫してきても、切って食べても神さまはばちを当てたりはなさらないと思います。が、慮る気持ちに、『暑い夏、神さまのお力をいただいて病気もせんと元気に乗り切りたい』という決意のようなものを感じます。 * * * 〈きゅうりを食べて健やかに〉  祇園祭の間はともかくとして、きゅうりや夏野菜はしっかりと食べたいものです。特にきゅうりは、カリウムと水分が多くふくまれているそうです。カリウムは、体内にこもった陽性(ナトリウム)を打ち消し、水分は血液濃度を薄くして、体を涼しくしてくれるそうです。昔ながらの〈きゅうりもみ〉などいかがですか。輪切りにした胡瓜に少し塩をあて、しんなりしたら水気を絞り、すりごま・酢・味噌・お好みでお砂糖と和えるだけです。神様の御加護と、自然の恵みをしっかりと受け取って、この夏、健やかにすごしたいですね。 (野口 歩 17.7.30掲載)