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切り抜き詳細
発行日時
2017-4-13 10:00
見出し
二十四の瞳
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4963
記事詳細
桜の開花は遅れたが、咲き誇る花の下を1年生がピカピカのランドセルを背負って歩いているのは、やはりいい。▼先日、小豆島に行った際、岬の分教場には寄れなかったが、急に映画「二十四の瞳」が観たくなってレンタルした。小学校から観に行って以来、60年ぶり。溌剌とした大石先生が子ども達と汽車ごっこで桜のトンネルを潜り抜けるところから始まる。▼金毘羅さんへの修学旅行の途中、正が10文半の靴を持て余して裸足になってしまうシーンも覚えていた。その門前のうどん屋で、4年生で学校をやめて奉公に出された松江と大石先生が偶然出会う場面も。▼最も記憶が鮮明だったのは戦後、老いて復職し、「泣きみそ先生」とあだ名された先生のために、5人だけ残った教え子たちが開いた歓迎会。昔、けがをして休んでいる先生を見舞いに、家まで8㌔の道を皆で歩いて行った時の記念の写真を、戦傷で失明した磯吉が「この写真だけはよう見えるんじゃ」と言いながら、「真ん中のこれが先生、右がマアちゃんで、こっちが富士子」と一人ずつ指で押さえる。▼昭和初めの子ども達は、日帰りの修学旅行にさえ行けない者が少なくなかった。行けても、家の手伝いをして貯めたお金をはたいて許してもらっていた。今の子達ははるかに幸せなはずだ。(E)