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切り抜き詳細

発行日時
2017-2-16 18:10
見出し
心の壁
リンクURL
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記事詳細
 25年前、ネパールで出会った台湾人のメイフェイは、「インドへ行きたいけどなかなかビザが取れないの」と嘆いていた。インドとネパールの出入国に関して何ら問題のない日本人には考えられないことだった。アメリカのワシントンでは、アジアから養子に来た子どもたちが幸せに暮らしていたし、7人の兄弟姉妹が全員海外からの養子というユダヤ人の女性もいた。ニューヨークでは、世界各国の人々が忙しげに行き交っていたし、ケニアでは、動物と砂漠と大きなお月様がぽっかり浮かんでいるだけの片田舎で、必ず開いていたのは架橋のお店だった。マレーシアでは、イスラム教徒もヒンズー教徒も仏教徒もキリスト教徒もごっちゃになって、モスクから1日5回響き渡るアザーンや、色彩豊かで前衛的なヒンズー教寺院、もちろん仏教徒のお寺も、クリスチャンのための教会も雑多に混在しながら共存していたし、タンザニアでは、道を聞こうと英語で話しかけたらフランス語しかわからないとたどたどしい英語で答えられたし、タイでごみ箱を漁っていたのは白人ホームレスだった。エジプトのシナイ山では、フランス人と喧嘩をしたし、ニュージャージーでは、店に入ったとたん「あら、英語話せない娘が来たわ」と。  多種多様な人種が国に関係なく一生懸命、日々生きて生活を営んでいるのを見てきた。インドからネパールへは歩いて国境を超えた。振り返って見てみると、目に見える境界線など、どこにも存在していなかった。 (土性里花・グループPEN代表)