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切り抜き詳細

発行日時
2016-11-6 9:00
見出し
みちのくの秋
リンクURL
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記事詳細
 先月の半ば過ぎから俳句の先生と同人九人で、三泊四日の東北の旅へ出かけた。俳人ならば、俳聖松尾芭蕉のたどった「奥の細道」くらいは行かないと、という先生の提案で今回がその一番初め。  「奥の細道」は元禄二年(一六八九年)三月、江戸深川を出発、弟子の曾良と共に奥州各地を行脚、北陸経由の美濃大垣で旅を結んだ芭蕉の俳諧紀行文。その中でも有名な句は何といっても山形の立石寺(山寺)での〈閑かさや岩に染み入る蝉の声〉と〈五月雨をあつめて早し最上川〉だろう。この名句中の名句の場所を訪ねて、自分なりの俳句を詠もうというのだが、その難しかったこと。先生以外は、あまりいい出来ではなかった。  一日目は松島と瑞巌寺。二日目からはマイクロバスを頼み三陸町へ。東日本大震災から五年半が過ぎ、嵩上げのダンプカーやクレーン車が行き交い、町から海は見えない。復興商店街で昼食をとったとき、店の人に聞いてみると「いつになったら、嵩上げが終わって、元のような暮らしができるかは、全然わからない」とのこと。それでも明るくたくましく生きる人々にこちらが励まされる。  その後、中尊寺と毛越寺へ。三日目は尿前の関、そして最上川下り、四日目に立石寺、そして毎晩の句会というハードな旅だった。観光旅行ではなく、俳句を詠むのが第一の目的。珍しい景色をカメラで写すのではなく、心に写さなくてはならない。だから吟行の旅は確実に記憶に残る。これから少し整理して、自分なりの、みちのくの秋の俳句を残せればいいのだが。