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切り抜き詳細
発行日時
2016-11-3 10:47
見出し
秘して語らず
リンクURL
http://tanba.jp/modules/column/index.php?page=article&storyid=4799
記事詳細
今年も早11月である。丹波篠山の黒枝豆に呼ばれた観光客も一段落し、丹波栗も売り尽くされ、あとは、山の芋が掘り起こされるのを待つばかりである。 毎年恒例である我が家の黒枝豆パーティもつつがなく終了した。好みもあるだろうが、私は、10月も末を迎える時期の黒枝豆の方が見た目は少々黒っぽくなるが、身が詰まって味が濃くなり美味しいと思う。周囲の喧噪に焦りを感じながらもじぃっと待って、やっとこの時期に実家や親戚に送ることにしている。 篠山に来てから20年以上になるのに今年も黒枝豆を食べ過ぎて、消化不良を起こすのも20回目ぐらいになるのであろうか。毎年進歩のないものである。しかし、今年の私はちょっと違う。ある会に参加させていただいた時、大先輩の奥様が用意してくださった黒枝豆をいただいた。その枝豆は一粒ずつの実に切られていて、食べ過ぎることなく、鞘から思いがけなくゆで汁がぴゅっと飛び出ることなく、お酒の当てには頃合いな調子でいただくことができた。ただ、一粒ずつの実に分けるだけでこんなに食べやすいなんて、まさに目から鱗であった。それからは、得意満面でそれに習い、友人や夫に出しては、食べやすいでしょと、同意を強制するものだから、それを言わなきゃいいのにね、などと諭されたりしているのである。どうやら、私は秘して語らずという奥ゆかしさというものが皆無らしい。でもね。20年目にしてようやくの進歩です。立派なことじゃないですか。ね?(土性里花・グループPEN代表)