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切り抜き詳細

発行日時
2016-9-29 9:37
見出し
やっぱり苦手なものは苦手
リンクURL
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記事詳細
 農業をしているからと言って、決して全ての野菜が得意というわけではない。あっ、もちろん食べる方の話です!  この時期は秋冬野菜の準備に入るため、食卓に上がる野菜の種類はかなり少ない。ピーマン、万願寺、しし唐、茄子のナス科4兄弟が入れ代わり立ち代わり。お陰様でこれら4兄弟は家族にもウケが良く、チンジャオロース、肉詰め、炒め物、揚げ物等々、様変わりして食卓を賑わせてくれる。が、ようやく葉物野菜が食べられると喜んで父ちゃんが持って帰ってくれるのは、間引き菜3姉妹。大根菜、蕪菜、人参葉。この3姉妹がどうも母ちゃんは苦手である。特に“次女”の蕪菜は、若い頃は浅漬けに良いが、ちょっと目を離すとチクチク棘でも持っているのか?!というくらい痛い。そして、刻んで炒めてもほろ苦さが口に残る。  まだ就農したてで自分たちの農業の形が見えずにいた頃、余裕もなく、一緒に炒める挽肉すらケチってひたすら蕪菜を炒めて、毎日毎日食べていた。蕪の苦みを飲み込むとき、色んな思いを噛みしめながら一緒に飲み込んだ、そんな思い出の味がするから今でも妙に抵抗がある。そんな話を子供たちにすると「ふ~ん」とそっけない。すると父ちゃん「そういや、肉無しで、野菜とウインナーだけで縁側でバーベキューしたよな」「そうそう、ビール1本片手に月を見ながらよくやったな♪」と2人で盛り上がる。もちろん、子供は「えっ?肉買えへんかったん?」だけ。まっ、子供はそんなもんですわ。  (古谷暁子・ブルーベリー農家)